画像: http://www.tokyoheadline.com/vol640/culture.16901.php

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『イノセント・デイズ』著者:早見和真

 一人の女性受刑者に死刑の判決が下った。確定死刑囚となった彼女の名前は田中幸乃。彼女は元交際相手の家に放火し、妻と1歳になる双子の女の子を無残にも焼き殺したのだ。元恋人の結婚後も行われたストーカー行為、悲惨な生い立ち、過去の犯罪歴と病歴、そしてその顔を事件の3週間前に大掛かりに整形していたことから、マスコミや世間は「整形シンデレラ」と呼び、連日彼女に関するさまざまな情報を垂れ流す。

 罪を認め、むしろ死刑になりたいと願う幸乃。犯罪を起こしかねないと思わせるような事実が次々と報道されると、誰もが幸乃を憎むべき犯罪者、人間の心を持たないモンスターのように扱った。ただ一人の人間を除いては…。

 この物語に、幸乃の心情はあまり描かれていない。むしろ幸乃と過去に関わった人たちの回想で綴られている。そこにいる彼女は決して恐ろしいモンスターではない。むしろ人の心に異常なほど敏感で、自分より他人の幸せを願うような少女だ。不幸な生い立ちではあるが、人を恨んだり憎んだりというより、他人から必要とされる人間になりたいと考えるような女性。だからこそ、彼女の過去を知る人間は、償いの意味も込めてその日々を振り返る。振り返っても、手を差し延べることはできないのだけど…。幸乃を最後まで信じていたたった一人の人がたどり着いた真実は、彼女を救えるのか?

 また、幸乃と一時でも深く関わったものたちは、彼女の本当の動機を理解することができるのか? 稀代の犯罪者の悲しすぎる人生にひと筋の光が差し込むことを願いたくなる作品だ。

【著者】早見和真【定価】本体1800円(税別)【発行】新潮社

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