「日本を元気に」をスローガンに各界のキーパーソンにお話をうかがってきた「JAPAN MOVE UP!プロジェクト」。今回は伊藤達也 地方創生担当大臣補佐官に「地方創生」について語ってもらった。(聞き手・一木広治)

画像: 撮影・蔦野裕

撮影・蔦野裕

 地方創生はいまどんな段階を迎えていますか?

「取り組みの具体化という段階に入っています。いままで地域の活性化へ向けいろいろな取り組みをしてきたんですが、その焼き直しであったのでは地方創生の目的を達成することはできません。なぜならば、少子高齢化、人口減少のスピードとその規模感が異次元の状況にあるんです。高齢化社会に突入するのにフランスは100年以上かかったんですが、日本はわずか24年で突入してしまった。また2040年には日本の人口は2000万人近く減ってしまいます。そうすると1800ある自治体の約半分が消滅してしまうかもしれない。そんな大きな問題に直面しています。その背景には地方でやりがいのある仕事がないため、若い人がどんどん東京に出てきてしまい、地方は少子化が進んでしまう。しかし東京に出てきても、なかなか結婚ができなくて子供も産み育てにくくて、東京も少子化が進んでしまう。この悪循環がこれだけのスピード感と規模感を作り出してしまっています。またアベノミクスで大企業の収益は大幅に改善しましたけど、なかなか地域までその成果が届いていませんので、こうした問題を克服していかなければいけない。つまり地方創生の目的は2つあって、人口減少問題を克服していくことと、地域の成長力を取り戻していくことなんです。この2つを目標にして、今は具体的な政策を作りこんで、それを地域の方々と一緒になって実現をしていこうとしています」

 2020年には外国からもたくさんの人が来ます。観光人口はフランスでは年間8000万人くらい。日本はどれくらいですか?

「ようやく1300万人を超えました。ただ5月までの最新の数字を見てみると、前年に比べて約45%増加しているので、今年は1800万人までいくだろうと予想されています。安倍政権スタート時は800万人ですから、一気に1000万人増えることになります。いま日本には勢いがありますね」

 伊藤さんが掲げる「ローカルアベノミクス」とはどういったものなのでしょうか。

「ローカルアベノミクスというのは地方版の成長戦略なんです。地域の稼ぐ力を引き出すことによって、地域経済の持続的な成長力を確保していきたいと思っています。キーワードが3つありまして、ひとつはイノベーション、2つ目はブランディング。そして3つ目が実質賃金を上げていく生産性の向上。こうしたことによって地方から世界に向けて、付加価値の高いものやサービスというものを生み出して、新しい需要を開拓していく。このことで地域から日本経済を元気にしていきたいと思っています」

 地方創生に一番必要なことは?

「ひとつ目はKPI とPDCAサイクル。KPIではそれぞれの地方が乗り越えなければいけない課題というものを明確に設定する。そしてPDCAサイクルで、その課題を乗り越えていくために計画を立て、行動を起こし、それがうまくいっているかをチェックして、そして最善の行動につなげていく。このサイクルを確立していくということが大事です。2つ目は産官学金労言。これは産業界、行政、学校、金融機関、労働組合、言論界、そして住民の方が参加をして、地域総ぐるみで地方創生を実現しようということ。それと3つ目の大切な視点は、いわゆるゼロサムゲームではないということ。限られたパイを奪い合うのではなくて、新しい発想で新たな需要を掘り起こしていくというプラスサムの発想。これが非常に重要だと思っています。この3つがキーワードですね」

 注目しているモデルケースはありますか?

「まず北海道の浦幌町。ここでは地方創生は子供たちが主役、子供たちにとって魅力的な街とはなにか、ということを考えて子供を中心に据えた街づくりによる地方創生のモデルを作っています。スローガンがすごく良くて、“子供が変われば親が変わる。親が変われば街が変わる”。次は石垣島。ここは外から知恵、人、需要を積極的に取り組む成長モデルを実現していて、アベノミクスの効果が一番出ている地域だと地元の人が言うくらい非常に元気があります。商工会の集まりなどに出ますと、普通は年配の方が多いんですけど、石垣の商工会は若い人、特に女性が多くて、非常に活気があります。それから観光が21世紀の成長産業といわれているんですが、観光は広域的な取り組みが重要。その点で注目されるのが瀬戸内。各国の観光戦略を見ていると、マーケティングをはじめとした経営手法を観光戦略のなかに取り入れて、観光政策を立案し、実行していく組織を行政の外に出しているんです。それと同じような仕組みを創設しようということで、広島県が事務局になって瀬戸内の各県が協力をして、いまそういう取り組みをしています。こういったところが地方創生の文脈の中で注目できるモデルケースではないかと思います」

 地方と中央の連係についてはどうお考えですか?

「私も地方を回ってみて思うのは、地方には本当に魅力ある地域資源はたくさんあるなということ。しかしそれにどうやって付加価値をつけて、その付加価値を消費地に理解してもらうか。ここの工夫がやはり足りない。つまりマーケティングや販路開拓といったところには改善の余地はあると思います。そういった中で東京のメディアの発信力を有効に活用するということは極めて重要なことだと思います」

 観光や地方の中小企業が海外市場に挑戦できるような環境が必要になってくると思うのですが、そういったところの整備とか方向性についてはどういった検討がされているのでしょうか?

「海外展開に成功している中小企業を見てみると、グローバルなマーケットのニーズに正面から向き合っているんですね。観光も同じことがいえると思います。特にドイツの中小企業を見てみると、Hidden Champion、隠れたチャンピオンになろうということで努力をしている。グローバルニッチトップの企業に成長したいということで、必要なマーケット、評価される製品開発、そして販路開拓、これを官民あげてやっているんですね。だから稼ぐ力が非常に高い。こうした取り組みを私たちも一生懸命応援していきたいと思います」

 中小企業においては大学生の就職におけるマッチング問題があります。その点では地方はなおさら苦しい。こういったことに関わる問題があがってきたときは、地方創生という観点でも何か政策を考えることになるのでしょうか。

「これは地方創生としても取り組んでいきます。まさにそのような強い問題意識を持っています。人手不足が恐らく地方経済を支える中小企業を襲っていくことになると思います。従って、やりがいのある仕事と、それにふさわしい報酬を出せる企業体に変わっていかないと若い人たちを地方に取り込むことはできないと思います。ただ一方で、問題意識を持った若い人がどんどん地方に集まってくる、田園回帰が起こっています。自分の力を発揮して、地方を元気にしようという若い人が結構いるんですよね。まさに被災地なんて若い人たちがたくさん集まっていますし、過疎地域の中で、地方創生のモデルになるような注目されている地域も必ず若い人たちが活躍しているんです。ですから地方が魅力をあげる努力をしていけば必ずこの田園回帰の流れはもっと大きな流れにしていくことができるのではないかと思っています。そうした流れがあるということもしっかり発信していきたいですし、若い人が活躍できるような環境を作る政策を強化していきたいと思っています。いま一番問題になっているのは観光業なんです。観光業はこれだけインバウンドが拡大するなかで、どの地域でも人手不足。でも今のような日本の観光ビジネスモデルだと賃金は安い、長時間労働と、まさにブラック企業なんです。これだと若い人がそこで働いて、やりがいを感じることはできないですよね。だから観光業のあり方を変えないとダメ。それを変えるにDMOをはじめとしたいろいろな施策のメニューを作りながら、地域の方々に変化の形を提案し、合わせて、地方をリードしていく人材を育成し確保していくようなプログラムも開発していきたいと思っています」

画像: 地方創生はプラスサムの発想が重要伊藤達也(地方創生担当大臣補佐官)JAPAN MOVE UP!「日本を元気に」SPECIAL INTERVIEW

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