学生メンバー初のインタビュー、ゲストにお越しいただいたのは、TEAM2020学生代表の定方春樹さんとご友人でもある木原実優さん。
木原実優さんは
日本大学芸術学部演劇学科の3年生。
役者やダンサーとして舞台芸術のご出演でのお仕事をされています。
お父様は気象予報士の木原実さんです。
今回は彼女の輝きのもとに迫ります。
今回はその舞台表現者である彼女の生きる輝きを見つけられたらと思います。今回は座談会形式で、多くの学生メンバーも木原さんのお話を伺いました。記事はTEAM2020最年少メンバー、黒木裕水(ゆうみ)が担当します。(担当詳細:タイトル下フルネームをクリック。)

木原実優さん
緊張はするのか
バレエダンサーから役者まで幅広い舞台をこなす木原さんに、
吹奏楽での本番の経験のある学生メンバー・高橋柚衣さんから質問が挙がりました。
高橋柚衣
Q.お芝居はたくさんの人に見られ、緊張もすると思うのですが、緊張のほぐし方は。
木原実優さん (以降、回答は木原さん。この後敬称略。)
A.緊張しない方で。一回だけ緊張したことがあるのですが(後述)。
舞台に立つことが人生で一番楽しいんです。
でもこれは、練習不足だったら言えないことなので、練習をすることが緊張をしない方法になります。
黒木裕水
Q.その緊張した「一回」というのは。
木原
A.コンクールに出たことがあって。
人の心に残ればとやっていることが、採点されるのは、違和感があった。
走って逃げだしたくなった。
そのときそれが、スポーツとの違いだということを思った。
フィギュアスケートみたいに完成度に採点をしたらまさにスポーツのようだと思った。
――舞台に立つことを「最大の幸せ」と表現した彼女に、緊張を煽ったのは採点により順位が決まる「コンクール」という舞台でした。
彼女を幸せに夢中にする舞台の本番には、どんな瞬間があるのでしょうか。
黒木
Q.今までご出演なさった舞台で好きだった場面は?
木原
A.《ハムレットの物語》でオフィーリア役をやったときに、
オフィーリアの自殺するところで セリフのない場面で
踊り続けて表現しました。
そのときは、これはもう一回できないかもしれない、と思いました。
オフィーリアに自分と似たようなところがあって入り込んで踊り、
同じクオリティーのものはもう二度とできないかもしれないと思いました。
黒木
Q.それは稽古で想定していたものとはどう違いましたか?
木原
A.稽古では本番を想定している。
しかし本番では
よくある言い方だけれど
『舞台に棲む魔物』を感じた。
舞台は生ものだと改めて思いました。

木原美優さんと黒木裕水
洋服へのこだわり
この日はストライプのジャケット風の羽織とショートパンツでのセットアップのコーディネートの木原さん。仲良しの定方さんはいつも「おしゃれだな」と思っていたそうです。
定方春樹
Q.ファッションセンスが良い。こだわりは?
木原
A.違った人に見られたい、という気持ちが働いて、
様々な服を持っている。
最近はまっているのはセットアップ(上下同じ色柄)で買うことです。
木原さんは何色か
彼女の思う自分の色とは。
定方
Q.色に例えるなら自分は何色?
木原
A.緑
定方
Q.そうなのか、なんで?
―そう続けた定方さんの質問から、木原さん思う自身の印象を少し知ることができました。
木原
A.青って言おうと思ったんだけど、青ほど青くないなって。
もっとクールな印象の人を青というのかなって。
定方
Q.オレンジかと思った。
木原
A.よく言われるんだけど、オレンジの服は持ってないんだよね。
青や緑が好きで。
オレンジの印象を持ってもらいやすいんだけど、なんでだろう。
そうそう、次の舞台「義経」での役柄もテーマカラーがオレンジなんだ。
明るい印象を持ってもらえているんだとしたらうれしいな。
(《義経》詳細は下記をご参照。)

《義経》での木原実優さん
挫折と絶望があったおかげで今やっていることや今の自分が好きだと思える
彼女が
若い頃にやっておいて役に立ったことについて聞いてみた。
木原
挫折と絶望かなあ。もうやめようと思ったこともある。
その時は「もうだめだ」って思った。
クラシックバレエをずっとやっていて、ダンサーになろうと上海のバレエの学校に単身留学して、中国の選ばれし者を同じ環境で見て。
努力が報われるわけでもないと思うことがたくさんあった。
絶望して踊りをやめようと思って帰国し
ずっと家にいて何もしないでいる日々が続いて。
そんな時お友達に誘われてキックボクシングに明け暮れるようになった。
それで、「やっぱり体を動かすのって好きだな」「体動かしたいな」って思って、ダンスをまた始めるきっかけになって。
そしたらまた、ご縁あって今度の舞台「義経」の演出の上田遙さんに出会って舞台にお誘いいただいた。
(《義経》詳細は下記をご参照。)
やはり舞台でも、すごい人たちに圧倒されて絶望して凹むことはある。
でも、凹むと人間のふり幅が出てくると思うんです。
変な話だけど、役者は様々な体験そのものが活かせる職業である。だから、これらの経験は役者として活きています。
―そして彼女の次の言葉で、私はこの経験が役者としてだけでなく、彼女の生き方そのものへ反映されていると感じました。
木原
人間としてのふり幅が出てきたから、私は挫折や絶望での経験が自分を形作っている大切なパーツだと思え、今は上手に付き合えているのではないかと思っていて。
それも含めて今やっていること今の自分が好きだと思える。
それは挫折と絶望があったおかげ。
定方
Q.今、頑張っていることは?
木原
A.体力強化。あと義経で歌もやっている。
本当に歌を本職でやってこられた方と同じ舞台で今までやってきていない私も歌を歌うので、頑張っていることです。
黒木
Q.お歌のジャンルは?
木原
A.ロックです。《義経》では、『ロックバレエ』というジャンルの音楽です。

《義経》ポスター 公演情報
世間のイメージとのギャップ
定方さんの「世間からボーイッシュだと思われている?」という質問から、彼女の世間のイメージとのギャップについてなどにつながっていく。
定方
Q.世間からボーイッシュだと思われている?
木原
A.うん。
黒木
Q.実際は?
木原
A.女々しい。腕立て伏せが出来ません。(笑)
そのイメージギャップは役にもあるようです。
木原
私はすごくネガティブな人だけど、底抜けに明るい役をやることが多い。逆にやりやすかったりもするし、似合うと思ってもらえているのもあるのかなあと思う。
黒木
Q. 逆にネガティブでよかったことは?
木原
A. パッパラパーだったらここまで来ていないと思う。
暗く思い悩む時間には、嫌でも自分を見つめ直す時間になっているから、
それも含めて自分の良いところと比べたり、自己理解のための時間になっている。

木原実優さん
無類のパクチー好き
彼女の休日の過ごし方について聞いてみた。
定方
Q.休日は何をしている?
木原
A.遊んでる。
定方
A.どういう遊び?
木原
A.飲んでる。(笑)
パクチーがすごく好き。
休日にグダグダと寝て過ごすのも理想だけど、ちゃんと出かけている方(の人)だと思う。
休日の過ごし方というより、お酒とパクチーが大好きな木原さんを知れる会話になっていました。

木原実優さん。気さくな方! 黒木撮影。
夢を見つけ、チャンスをつかんでいく
大学一年生の山下和樹さんから夢について、質問が入りました。
山下和樹
Q.夢で生きていける人は一握り。夢を見つけられない人もいると思います。
僕も夢を持てずにいるのですが、夢を見つけたきっかけはなんですか。
木原
A.なんでも断らずやってきました。
「とりあえずやってみよう」。
踊りだけでやってきたけどお芝居をやってみようとした瞬間があったことで今がある。
『自分の身を投げる勇気』が良かった。
良い意味でプライドがないということだろう。
ーこれは彼女がチャンスを逃さない理由かもしれません。

木原実優さん
大事なもの
彼女が他に大事にしてきたものについても伺うことにしました。
黒木
Q.若い頃に大事にしていてよかったものはなんですか。
木原
A.家族。
高3になった弟は、
自身も自分の演出する舞台をやっていて、お互い気にかけている存在。
弟には意見してほしいと思っていたり、同じ映画を見るようにしたりしている。
ときどき姉振ってみたり、とても仲が良くて、ケンカしたことなくて。
でも舞台やったときに
「よくなかったね」
と言われたくない相手。
弟への負けん気が、モチベーションの一部になっていると思う。
母は
誰よりも応援してくれて
父は
無条件に応援してくれる。

木原実優さんと彼女のお父様の実さん
だからみんなも家族を大切にしてねって思う。
私は家にいる時間は多くないけど、
金曜の夜は必ずお母さんと一緒にご飯を食べる。
この歳になってもその時間は大事にしている。
中・高・大学生くらいの若い人に大事にしてほしいのはと聞くとすぐに「家族です」、とおっしゃっていた木原さんの笑顔に、テレビで拝見するお父様・木原実さんのような優しい雰囲気があったのがとても印象的です。
そんな彼女に、
TEAM2020インタビュー恒例の『アクション宣言』に近い
『2020年に向けて』という質問をさせていただきました。
Q.2020年に向けて。5年後どうなっていたい?
定方
Q.2020年に向けて。5年後どうなっていたい?
木原
A.今やっていることを続けていたい。
舞台とか、映像に手を出したり、表現活動をしていたい
けど、このままではないと思うから成長して、いろんなことを乗り越えたい。
色んなことがあってもやめないでいられたらと思う。
今よりダメにならないで。なったらすぐやめちゃうと思う派だと思うから、
やめなくて済むように続けていたい。
定方
Q.最終的なゴールは?
木原
A.出る側に留まらず演出をしたい。
今ってやりたいことの表現をしているけれど、
演出家の方の表現したいことの要望にも応えるようにしている立場。
自分の表現したいことをもっとやりたいから、演出家をやりたい。
あと出産はしてみたい。子供を育ててみたい。
また、私のような人間が人のためになるのかとかはわからないけれど、そうなりたい。

《義経》での木原美優さん
やはり、舞台を見に来るというのはそこまでに
チケットを買ったり、
会場まで来てもらったりして観るもので
それでお客さんは来てくださったから、満足度の高いものを。
―演奏会鑑賞を趣味とする私は、もっと聞いてみました。
黒木
Q.木原さんの言われた通り、ご来場いただくまでのプロセスやコストへの煩わしさは
舞台のご観覧を諦められてしまう一因だと思いますが、今後舞台はそんなお客様の気持ちにどう応じていくと考えますか?
木原
A.観覧が難しいと考えている人は多いと思う。
舞台は観る時に飲食もダメ携帯もダメだと。
しかし、そういうのを含めてお芝居のいいところ。
敷居を低くしたいからと言って超ラフで観るというのも何か違うだろうと思うので、
バランスのとり方はあると思う。
黒木
お客様と演者さんと、同じ時間や空間を共有することも作品の一部のようですね。
木原
うん。
どの回でも、この公演で演劇を初めて観る人もいるだろうと思ってやっている。
次の舞台『義経』は、ネットに予告動画があるので見てね。

《義経》ポスター 表
ありがとうございました。
演劇・緊張・洋服・色・家族・悩むこと・大事なこと・未来…。色んな角度の質問ができた座談会だったと思いますが、木原さんのひとつひとつの物事について大事にする気持ちが彼女の生き方の様々なところに感じられると考えました。
挫折と絶望、
身を投げる勇気、
今の自分が好きだと思えること、
家族を大事にしていること、
パクチーが好きなこと、
全部がいまの木原さんを輝かせるところでした。
一番最後に掲載します集合写真まで、とても明るい印象の木原美優さんでした。
お読みくださってありがとうございます。よろしければお知り合いにもこの記事をお伝えください。黒木。
…宣伝…
木原さんと定方さんも企画・PRに携わっているピザ屋さん
『Spontini』は2015年10月、
原宿に
オープン予定です。ぜひチェックしてみてください!

木原実優さんと定方春樹さん。Spontiniのご自身の名刺を持っていらっしゃいます。黒木撮影。
…………

ROCK BALLET 義経
命果つるまで、疾風怒濤編
義経、必ずや来世で又会おう!
芸術監督・上田遙が創る、戦国舞踊絵巻第2章
http://www.kk-video.co.jp/stage_info/stages/20150911_yoshitsune/index.shtml
日時:2015年9月11日19:00〜
12日(土)13:00〜/17:00〜
13日(日)12:00〜/16:00〜
会場:六行会ホール(品川区北品川)
140-0001東京都品川区北品川2-32-3 京急新馬場駅北口より徒歩2分
料金:7,500円
作・演出・振付:上田 遙
作曲:T-LAYLA
出演
三浦 宏規
渚 あき
松原 剛志
和田 泰右(DIAMOND☆DOGS)
木原 実優
花園 直道
麻尋 えりか
広瀬 斗史輝
安田 桃太郎
南 誉士広
インディ高橋
上田 はる美
上田 遙
吉田怜菜
その他

木原さんありがとうございました!木原実優さんと参加したTEAM2020学生メンバーで集合写真。