画像: 撮影・蔦野裕

撮影・蔦野裕

 6歳で芸能界デビューを果たし、バラエティー番組『天才テレビくんMAX』(2003〜2006年)のMCとしても人気を博した子役時代を経て、現在は話題のドラマへの出演が相次ぐ注目の若手俳優に成長。さらなる飛躍を目指す彼が語る、希望の物語とは。

充実の2015年を終えて。俳優・前田公輝の現在地。

「2015年は俳優として、かつてなかったほど楽しい年でした(笑)」と屈託のない笑顔を見せた前田公輝。笑うと子役時代の面影がよみがえる前田だが、現在は若手俳優として活躍。話題のドラマや映画に出演し、演技力に加えさわやかなイケメンぶりで注目を集めている。


「2015年、僕は24歳の年男だったんですが厄払いに行かなかったんです。役者の中には“役を払う”ことになるからと、厄年でも厄払いに行かないという方もいらっしゃるみたいなんです。僕もわりと縁起を担ぐほうなので(笑)、それを知って行かずにいたんです。そのおかげかいろいろな役を頂くことができて、本当に充実した一年になりました」


 2015年は『だから荒野』(NHK BSプレミアム)、『アルジャーノンに花束を』(TBS)、『デスノート』(日本テレビ系)、『コウノドリ』(TBS)など、話題のドラマへの出演が続いた。


「考えてみれば、連続ドラマの出演が4クールも続いたのはこれが初めてだったんです。1年通してドラマをこなしたという経験は、勉強にもなりましたし自信にもなりました。レギュラー出演の作品と単発の作品を同時期にこなしたのも、今年が初めてでした。1日ごとに陰の役と陽の役を入れ替えるということが数日続いて。自分のなかで切り替えのスイッチを意識するという作業を経験できたのは、成長につながったと思います。確かに大変でもあったんですけど、その大変さも楽しかったですね。自分にとっては、高校1年生のときに役者を一生の仕事にすると決意してからずっと夢に描いていた状況でしたから。俳優人生で一番、楽しい年だったかもしれません。厄払い、行かなくてよかった(笑)」


 ドラマや映画はもちろん舞台もこなす。そんな前田が感じている、ドラマ、映画、舞台それぞれの面白さとは?
「まず連続ドラマの場合、必ずしもラストまでの台本が最初から揃っているわけではなく、物語の終わりまでの大まかな流れしか分からないまま役を演じることが多くて、そこが映画との違いであり、連ドラならではの面白さかな、と思っています。役の全容が見えないので、憶測で演じている部分も少なからずあるんですけど、人物の根本的なところをつかんでおけば、あとは物語の流れの中で、場面に合わせて共演者と芝居を作っていく。そこにやりがいと面白さを感じています。映画の場合は基本的に、細かく構成されていて結末も分かっている状態で役作りをするので、僕はわりとラストから逆算して役作りをすることが多いです。ラストでこうなるからこの場面ではこう…というふうに。あと、自分のイメージと演出に違いを感じたら、すぐ監督に確認するようにしています。そうすることで監督のイメージを正しくつかむことができるし、自分のなかでも新しい発見になって、その一場面のことだけでなく、役そのものを深めていくことができるので」


 2010年に『白虎隊・ザ・アイドル』で初主演にして初舞台を踏んでからすでに7本もの舞台を経験。
「僕はまだ経験といえるほど舞台をこなしてはいないですが、それでも舞台ならではの面白さは感じています。特に、舞台では最初から最後まで感情を途切れさせず芝居をし続けることができる、という部分が好きです。あとは360度見られているので、常に意識を役のままで保ち続けることができる。映像だと、セリフがない場面、自分にフォーカスが当たらない場面がありますけど、舞台ではお客さんがいつどこを見ているか分かりませんから。気は抜けないですが、役に入り込んだ状態を保つことに、またやりがいがあったりします。そういう意味でも“カット!”という声が入らないのは楽しいです(笑)。ただ、ドラマであれ映画であれ舞台であれ、監督や演出家の方からお芝居をつけて頂くのは毎回、楽しいです。頂いた“型”の中で、どれだけ自由な気持ちで芝居ができるか試行錯誤するのも好きだし、完全に型にはまりきるのも好きですね」

画像: 充実の2015年を終えて。俳優・前田公輝の現在地。

芸能活動で忙しかった中学時代。
これじゃダメだと、1日10時間もの猛勉強をしました

新作『ホテルコパン』はホラー要素のある感動作!?

 2016年、3年前に撮影して以来、前田が大切にしている作品がついに公開となる。それぞれに事情を抱えた人々の運命が、とあるホテルで交錯する群像劇『ホテルコパン』。壮絶な過去を匂わせるホテル従業員・海人(市原隼人)やホテルの人気回復に奔走するオーナー・桜木(近藤芳正)をはじめ、宿泊客もみな訳アリな様子。
「どん底にいる人たちばかりが集まってきて、あの一夜でさらにどん底な状況へと突き落とされる…。あのホテルには、そういう人たちを引き寄せる目に見えない何かがあるのか。ある意味、ホラー要素があるホテルですよね。僕が思うに、近藤さん演じるオーナーの負のオーラが、絶望を引き寄せているんじゃないかと(笑)。最初に台本を読んだとき、まったく異なる事情を抱えた人たちの運命が一点に向かっていく感覚が、すごく面白いと思いました。まるで転げ落ちるように、登場人物がそれぞれ絶望的な事態に向かって進んでいくなかで、彼らの運命が絡まり合って、いつしか一つにつながっていく。その過程にどんどん引き込まれていきました」


 少しずつ明らかになる登場人物たちの絶望的な背景。その中で前田演じる斑目と大沢ひかる演じる美紀は、一見どこにでもいるラブラブなカップルだが…。
「門馬監督とは、一見どこにでもいるようなカップルなんだけど、どこかしら違和感を出していければいいね、という話をしました。その違和感というのが、まだ付き合いたてだからなのか、別れる前だからなのか、倦怠期なのか、それとも他に理由があるのか。何かは分からないけど、どうやら何かある、と。斑目役で意識したのは“YESマン”になろう、ということでした。美紀に対して常に優しい“YESマン”だからこそ、むしろ裏を感じてしまう。といっても、他の宿泊客は、僕ら以上にパンチのあるキャラクターなので(笑)、彼らに比べれば“あのカップルは大丈夫なんじゃない?”と思わせる…という方向でいこう、と。ただ結局、僕らがクライマックスの大崩壊のきっかけになってしまうんですけど(笑)」


 撮影中、こんなエピソードも。
「撮影時、キャストたちはロケをしたホテルに宿泊していたんです。なので自分のシーン以外も、よく近藤さんの撮影など、見学していました。撮影時間外に、よく階段の踊り場に集まっていたんですけど、夜そこで近藤さんと2人になったことがあって。そのとき、お父さんのように包んでくれたというか…。芝居の相談をいろいろ聞いていただいていたところ最後に“お前は大丈夫だよ、自分の信じた道を行けばいいよ”と言ってハグしてくれたんです! あんな大先輩にハグなんてされたのは初めてで、そのときはさすがにウルっと来ちゃいましたね(笑)。以来、撮影後もときおりご飯に連れて行っていただいたりしてます。本当に、カッコいい方なんです。イケメンってこういうことだと思いました」
 前田にとってかけがえのない出会いとなったこの作品。登場人物たちの出会いもまた、絶望の先に希望をもたらすものになるのだろうか…。最後まで目が離せないストーリーとなっている。

画像: 新作『ホテルコパン』はホラー要素のある感動作!?

芸歴19年。一歩一歩、学びながら見据える可能性。

 幼いころから芸能界で活動をしてきた前田にも、くじけそうな時期があった。
「ずっと芸能活動をしていたので、みんなと一緒に青春時代を過ごせない時期があって、そのときは辛かったですね。とくに中学時代は、仕事で何日も学校に行けないということもよくあって。普段、大人に囲まれて仕事をしているせいか、言動も学校の友達と微妙にズレてたりして、疎外感を感じることもよくありました。成績も良くなかったですしね(笑)。中学3年のとき、さすがにこれはまずいと思って猛勉強したんです。他の生徒が受験勉強をしているなか、中学1年からやり直しました。けっこう恥ずかしかったですけど(笑)。その時期は1日10時間くらい勉強しましたね。実際、それで救われた部分はありました。1年間、真剣に勉強したことによって、やっとみんなと同じ知識が身に付いただけでなく、みんなと一緒に学校生活をしたような気持ちが持てたんです。すると自然とみんなとも気持ちを共有できて。勉強って大事ですね(笑)」


 しかし同時に、当時の芸能活動は現在につながる大きな力にもなった。
「『天才テレビくんMAX』で3年間やらせて頂いたのが一番長いレギュラーの仕事なんですが、そこでの経験や出会いは大きかったですね。当時、僕は中学生。いま映像を見返すと、本当にかわいげがない子供だったな、と思います(笑)。とはいえ、メインMCとして番組の進行をしたり、大人のゲストをお迎えしてインタビューしたりと、僕自身は必死でしたけどね。頭の回転をフルスロットルさせて。自分でも頑張っていたとは思います(笑)。当時、番組で子役たちのアドバイザーを務めている方がいて、僕はよく叱られていました(笑)。でも番組を卒業して10年ほど経ったころ、番組の特別イベントでお会いしまして、深い愛情を持って育てていただいたということに、やっと気づくことができたんです。当時は本当に嫌いだったんですけど(笑)」


 俳優という夢を早くに叶えた前田にとって現在の夢とは。
「これは、永遠に無理なんですけど(笑)、自分に100点を付けること、が夢ですね。もう完璧な花丸を自分自身にあげられるような作品を作ることが夢です。でも満足することなんて無いんでしょうけどね(笑)」


 夢を追う人たちにメッセージを。
「これは自分の経験上、思ったことなんですが、自分とは違う意見や考えを聞いたとき、それを全否定するのではなくて、一度飲みこんで新たな可能性や発見を探してみる、ということがとても大事だと思うんですね。僕も一時期は自分が大正解、人の意見は聞き入れないという時期がありました。もちろんぶれずに自分を持つことは大切だけど、そういうのは自分の中だけで持っていればいい。僕は、人でも食べ物でも“嫌い”という言葉を基本的に使っていなくて“苦手”という言い方をしてます。嫌いと言ってしまうと、好きになる可能性も自分で消してしまう気がするので。結局、可能性を自分で潰さないことが、一番夢を実現させるうえで必要な事じゃないかと思います」
 可能性の大切さを知るからこそ、自分自身の可能性を信じることができる。俳優・前田公輝の可能性は無限大。

『ホテルコパン』

画像: ©2015 and pictures

©2015 and pictures

監督:門馬直人 出演:市原隼人、近藤芳正、大沢ひかる、前田公輝他/2時間15分/クロックワークス配給/2月13日(土)よりシネマート新宿他にて全国順次公開  http://hotelcopain.com/

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