なぜそんなに多才なの!?
噂の万能型俳優をひもとく、3つのキーワード

画像1: 撮影・神谷渚

撮影・神谷渚

 二枚目役で知られながらも、新作ドラマ『初恋芸人』では怪獣の着ぐるみ姿でキーマンを好演。俳優として幅広く活動するだけではない。あるときは、どんな人の心にも飛び込んでいく気さくな旅人。またあるときは人気アーティストにも曲を提供するソングライター。そのボーダーレスな才能の源泉とは…!? 多面的な魅力にあふれる俳優・内田朝陽に、3つのキーワードで迫る!

内田朝陽 Uchida Asahi
1982年5月30日生まれ。東京都出身。2000年2月、21世紀ムービースターオーディションでグランプリを受賞。映画『死者の学園祭』で俳優デビュー。以後、『どんど晴れ』、『精霊流し』、ライブ・スペクタクル『NARUTO ―ナルト―』など数々のドラマ・映画・舞台に出演するほか、旅番組『のんびりゆったり 路線バスの旅(NHK総合テレビ)』にもレギュラー出演中。

Artist ―アーティスト―
冒険はマリリン・マンソンから始まった

 役者としての幅広さはもちろん、表現者として多彩な魅力を持つ。
「子供のころに僕が一番なりたかったものは、料理人かミュージシャン。実家がレストランなので、幼稚園ぐらいから料理人になりたいと思っていました。小学校のころには“近くの農家や店の庭で採れた新鮮な野菜やハーブを使う”とか“1年の半分は世界中を旅して現地でレシピを学んだり伝えたりする”とか、かなり具体的に考えていました。だから今も山菜などに、けっこうくわしいんです(笑)。それと同時にエンターテインメントはずっと好きでした。小学校の終わりくらいかな、マリリン・マンソンにハマりまして。音楽だけじゃなく世界観から作り上げてしまうってすごい、と思ったんです。1999年の来日ライブに行ったんですが、目の前に恐竜が出てきたかのような衝撃を受けました。同じ人間なのに、ステージに立っている彼とこちらとでは存在意義が絶対的に違う。どうせ生きて死ぬのなら、マンソンと友達になってから死にたい。一緒に飯を食ったりする仲になりたい、と思ったんです。ではどうするか、まずは芸能界に入ろう、と(笑)。僕は昔から、この人すごいなと思うと作品だけでなく、話していることや持っている世界観も知りたいタイプ。だからプロフェッショナルというか仕事人タイプの人より、アーティスト的な人に引きつけられるんです。思えば、料理人にしても職人肌の人より芸術家的な料理人になりたかったですし、役者としてもアーティスト性を感じる人に引かれます」

Breakthrough ―打破―
苦手なもの、知らないコトの先を知りたい

画像2: 撮影・神谷渚

撮影・神谷渚

「子供のころから海外のエンタメにも親しんでいたせいか、海外国内というボーダーが自分の中にあまり存在しないんです。でも実は、早い段階で一度、英語に挫折してアメリカ嫌いになっているんですよ(笑)。インターナショナルスクールに通う幼なじみがいて、僕も小学校のころランゲージスクールに通っていたんですけど、僕のほうは小学校レベルの英会話で止まってしまい向こうは逆に日本語を忘れていった。いつのまにか会話も合わなくなり、彼が家の都合でアメリカへ渡ってからは、英語が嫌いになって勉強するのを辞めてしまったんです。でも高校になったころ、また会いたいなと思うようになった。それで、会いに行くためにまた勉強し始めて、高校の終わりくらいから一人でアメリカに遊びに行くようになりました。再会したときは、僕も英語で話ができたし、向こうもアメリカに行ってから日本語を勉強していた。すると今度は、お互いの友達を紹介し合うことができるんです。世界がどんどん広がっていって、それまで感じていた壁をブレイクスルーできた。実際、言葉や文化の壁ってけっこうシビアなんですよね。文化による価値観の違いや、宗教観の衝突もある。それでも、そういうものを全部ひっくるめたうえで、やっぱり話ができるのは面白いと思うようになったんです」


 内田の中に生まれた、一つの確信。
「壁を壊すこと、新たなものに挑戦することは、俳優にとっても重要なことだと思っています。今度のドラマ『初恋芸人』では、自称・怪獣のお笑い芸人を演じてます(笑)。僕にこんな役をと言ってくれるなんて、確実に面白い人たちに違いない、ぜひ一緒に仕事をしたいと思ったんです。怪獣姿の僕が映っていると一見どういうドラマなのと思われるかもしれませんが(笑)、すごく一生懸命さが伝わる素敵な作品です。難しかったのは、あくまで笑わせることが目的ではなく、“笑わせようとするけど微妙”な芝居で、テレビの前の人に笑ってもらうこと。売れない芸人ならではの間やテンポも、専門の指導を受けて練習しました。そのおかげか、お笑いライブのシーンを撮影するときには観客役のお客さんから“微妙…”とか“意味が分からないんだけど”というリアルな反応を頂きましたね(笑)」

Journey ―旅―
帰るべき場所があり、行くべき旅がある

画像: Journey ―旅― 帰るべき場所があり、行くべき旅がある

 内田が越えた壁の一つに、今では彼の魅力を語る上で欠かせない、旅番組の仕事がある。
「最初はすごく苦手意識を感じていたんですけど、そう感じるということはそれが自分のウイークポイントだということ。つまりこれをクリアできれば自分はまた成長できると思ったんです。そうして続けているうちに、初めて出会う方から面白い話を伺うことができたり、新しい発見を楽しめるようになっていました。普段から頭を柔らかくしていることが大切なんだと思います。もちろん、カメラが回っていることは意識していますし、番組として成立させるのが大前提ですけど、カメラの向こうだけを意識して取り繕っていたら、自分の目の前にいる方に心を開いてもらえない。だからロケでは24時間、そのままでいられる状態を心がけています。突然、何かが起こってカメラを向けられても、慌てて仕事用の顔を取り繕わずに済みますから(笑)」


 そんな経験を重ねたからこそできた仕事が、今年公開される。盟友・山田孝之とともにアメリカ大陸各地を巡った旅の映像。
「15日間かけてアメリカ大陸各地を回り、海外に飛び出して活躍中の日本人、日系人の方を訪ねました。皆さんのお話を伺っていて思ったのは“やれるかどうか”ではなく“やるかやらないか”という考え方をするってこと。それと、すごく考えるということ。無鉄砲な人は誰もいない。考えて行動している人たちばかりです。思慮深さと行動力のバランスがとれているというのかな。本当に多くのことを学びました」


 内田と山田の行動力も見どころ。
「実は自分たちの企画だったので、取材交渉や手配、荷物運びまでほぼ自力。僕と孝之とアメリカ在住の日系人監督と、ときどきアシスタントが1人。僕ら含めメンバーは最大4人(笑)。基本的に監督が音声を取りながらカメラを回しているので、機材を車に置いておけないときは撮影中も僕らが機材を運んでしたし、街歩きでは2人それぞれにワイヤレスカメラで音をとっていたんですけど当然、音声さんなんていないので自分で録音機材のバッテリーを確認したりして(笑)。普段、現場にいるスタッフさんたちの苦労を、改めて感じましたね。とにかく何もかも本気で向き合った旅でした。場所によってはシャッターの降りるホテルを探す、というような安全確保から、コロンビアでラーメン店をやっている人に会うまでラーメンは食べない、みたいなことまで(笑)。僕ら自身の人生に影響する旅をしよう、と言っていたんですけど、まさにそういえるものになりましたね。普通なら俳優が敢えてやる必要もないことかもしれない。でもやったことがないことは、やる価値があること。今回、僕と同じように面白いと感じてくれて一緒に旅に飛び込んでくれた孝之には本当に感謝してます。それと、これは俳優をやっていたからできたことでもありました。芸能界での経験と周囲のサポートがあって、一つの作品として完成できた。デビューから今日までの、一つの集大成ともいえるかもしれません」


 表現者にして探究者。それが彼が多才である理由なのかもしれない。尽きない彼の好奇心はこれからもファンを決して退屈させないはずだ。

POSITIVE ITEM
『初恋芸人』で演じた謎すぎるキャラ、怪獣ガ

画像: POSITIVE ITEM 『初恋芸人』で演じた謎すぎるキャラ、怪獣ガ

「怪獣ガラバン、本名不明です(笑)。ガラバンという怪獣として生きている人物です。そもそも怪獣ガラバンを広めるために芸人をやっているのであって、本人的には怪獣としての生き方を真面目に語っているだけという(笑)。相当エキセントリックなヤツなんですが、けっこうポジティブで、いいことを言うんです。お笑いをなめてると言われても、お笑いの定義なんて誰が決めたのか、僕は自分らしく生きようとしているだけだから細かい定義はどうでもいい、僕は自分らしく生きようと決めたときから幸せです、というような。まあ、いくらカッコいいこと言っても怪獣の着ぐるみ姿なんですけど(笑)」

内田朝陽 最新情報
◆NHKBSプレミアムよるドラマ『初恋芸人』
3月1日放送スタート BSプレミアム 毎週火曜 後11時15分〜(全8話)
◆映画『マザーレイク』2016年夏公開
◆『#The Encounter』(仮題名)4月上旬からGoGetterzでOA

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