3月25日、今年もプロ野球がセ・パ両リーグ同時開幕した。10月の日本シリーズまで毎試合大熱戦が予想されるが、今年は例年とは違う幕開けとなった。昨年のシーズン終了後に、読売巨人軍3投手のプロ野球賭博が発覚し、今年に入ってからも、3月に同球団からさらに1投手の関与が発覚した。さらには、高校野球賭博や公式戦の勝敗に関する選手間の金銭授受が複数球団で問題となり、野球協定への抵触の有無等、罰則の基準が明確にならないまま開幕を迎えることとなった。この状況に納得をし得ない野球ファンは多く、新規ファンを取り込むのも難しい状況である。
 2020年の東京五輪における野球・ソフトボールの正式種目復活に向けて活動が進む最中であるが、国内での野球人気は高まっているとは言えない状況が続いている。かつてのような野球人気が復活する手がかりはどこにあるのか、筆者が開幕戦をテレビ観戦して改めて感じたことから考察する。

解説を務めた、江川・原・松井氏という「スター」

 筆者が観戦したのは、東京ドームで行われた読売ジャイアンツと東京ヤクルトスワローズの開幕戦である。近年は野球人気低迷に伴う地上波放送の視聴率低下や、試合終了までの放送のためにBS・CS放送での中継が主流となっているが、開幕戦は地上波で放送された。この試合、日本テレビ中継の解説を務めたのが、かつて巨人に在籍しチームの一時代を支えた、江川卓氏、原辰徳氏、松井秀喜氏である。昨年まで巨人を監督として率いた原氏や、キャンプで臨時コーチを務め、高橋由伸新監督と同時期に巨人でプレーした松井氏の解説には注目が集まった。3氏の解説は非常に興味深いものが多く、開幕戦にふさわしい華やかな雰囲気となった。

画像: 開幕戦の解説を務めた松井秀喜氏(左)と原辰徳氏。さらに江川卓氏という豪華な解説陣であった。

開幕戦の解説を務めた松井秀喜氏(左)と原辰徳氏。さらに江川卓氏という豪華な解説陣であった。

 思えば、筆者がまだ幼稚園・小学校に通っていた頃、巨人戦はほぼ毎日のようにアナログ放送で中継されていた。19時に中継が始まるのをテレビの前で首を長くして待ち構えていたことをよく覚えている。当時、巨人の4番を打っていたのが、松井秀喜。高校時代から“5打席連続敬遠”等で注目を集め、巨人ファンのみならず、プロ野球ファンの多くが「松井のホームラン」に魅了された。球界全体のスターであった。また、いまでもメジャーリーグで現役のイチローも松井と同時期から活躍し続けるスターである。7年連続パ・リーグ首位打者、メジャー年間安打記録更新…等、数々の輝かしい成績を残し、メジャーリーグでも伝説的な選手としての扱いを受けている。彼らは、例え普段プロ野球を観ない人でも知っているのが当然という選手である。一世代前の王貞治氏や長嶋茂雄氏がそうであるように、彼らも以降語り継がれる「永遠の野球スター」となるであろう。これまでアナログ放送時代に野球が中継されていた頃には、日本のプロ野球で活躍するスターがいたのである。その中に開幕戦の解説を行った、江川、原氏も含まれていることは言うまでもない。

画像: 解説を務めた、江川・原・松井氏という「スター」

現在のプロ野球におけるスター選手は

 先程から幾度か用いている「スター」という言葉であるが、この存在なくしてプロ野球人気の完全な復活は難しいと筆者は考えている。日々その活躍が注目され、テレビニュースや新聞を賑わせる選手が野球人気の復活を助けるのである。
 近年、他のスポーツで言えば、ラグビー日本代表の五郎丸歩選手がその一例である。五郎丸にスター性を持たせた、彼の正確なキックは、ラグビーに興味を持たなかった層の人々をも惹きつけた。ラグビー以外でも、サッカーの本田圭佑選手や香川真司選手、フィギュアスケートの羽生結弦選手など、発言・行動に注目が集まる「スター」が存在するのである。
 では、野球に目を向けた時、現在野球にあまり関心がない人々でも大きな注目を集める選手はいるか。残念ながら現時点で明確に「スター」と言える選手はいない。…というと批判を受けるかもしれない。田中将大やダルビッシュ有らがいるではないかと思う人がいるであろう。しかし、彼らが戦うメジャーリーグに対する興味を持つ人は今の日本に少ないのである。スポーツニュースで報じられるのも、「○回△失点や、□打数◇安打」ということのみで、対戦相手の情報などはなく、いまいち凄みが伝わらないままになってしまう。これでは、完全なる「スター」を野球界から生み出すのは難しい。国内のプロ野球に目を向けても、二刀流に挑戦している大谷翔平や甲子園優勝投手藤浪晋太郎という、スター性を持った若い選手がいるが、往年のスター選手に比肩するほどの成績をまだ残せているとは言えない。

画像: 大谷翔平(左)と藤浪晋太郎。今後、本物の「スター」となる成績を残せるか。

大谷翔平(左)と藤浪晋太郎。今後、本物の「スター」となる成績を残せるか。

  それでは今、日本のプロ野球で「スター」を作り出す方法とは…。後編では筆者が考える、日本野球界において「スター」が生まれる条件などについて考える。

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