2020年の東京五輪における野球・ソフトボールの正式種目復活に向けて様々な活動が行われ中、現状日本国内のプロ野球人気が高いとは言えない。野球賭博問題も勃発し人気低迷に拍車をかけているが、そこに光は差し込まれるのか―。
 前編では、現在のプロ野球に於ける「スター」不在とその必要性について書いた。後編では、今後「スター」が生み出されるための条件を考える。

世界大会の注目度-他のスポーツとの比較-

 まず、「世界大会の注目度の上昇」が必須と思われる。現在、野球の世界大会として、4年に一度のWBC (World Baseball Classic)と、同じく4年に一度のプレミア12が開催されているが、どちらも2000年以降に創始された大会であり、参加チーム数があまり多くないこと等から、あまり知名度が高くない。サッカーのW杯と比較して国民の関心度の差は歴然である。国際大会の知名度・重要度が高まれば、「日本代表・侍JAPAN」というものに価値が生まれ、そこを目指す選手たちによる国内プロ野球もさらに盛り上がるのではないか。

画像: サッカー日本代表の試合は、毎試合大きな注目を集める

サッカー日本代表の試合は、毎試合大きな注目を集める

 日本に限らず、メジャーリーグが行われるアメリカ等でも国際大会の価値が高まる必要がある。現在、侍JAPANに日本人メジャーリーガーが招集されることはまず無いと言ってよい。招集をしようとしても、選手側が辞退する可能性が高いのである。これは「メジャーリーグ」が優先されるからに他ならないが、この状況は他のスポーツとは明らかに一線を画している。国際親善試合ならまだしも、W杯サッカー日本代表を辞退する選手はまずいない。昨年話題となったラグビーも同様である。WBCやプレミア12よりもメジャーリーグが優先される状況に、国際大会が盛り上がらない原因の一つがあるといって良いであろう。
 筆者は、メジャーリーグの価値を国際大会のそれ以下にすることが解決策だとは思っていない。「日本人メジャーリーガー」が侍JAPANの招集を受けることが良いと考えている。実際、06年、09年のWBC(過去、3年に一度であった)にはイチローが参加したことがあった。特に09年大会の決勝で延長に適時打を放ち、韓国を下したことは彼のスーパースターたる所以の一つである。侍JAPANの活躍は日本中で話題となり、筆者も車の中で実況を聞いていたのを覚えている。

画像: WBC優勝トロフィーを持つイチロー

WBC優勝トロフィーを持つイチロー

 現在はポスティングシステムも利用されるようになり、プロ野球で活躍した選手がメジャーリーグに挑戦することが以前より多くなった。「スター」になり得る選手がアメリカに渡り活躍しているのをテレビで見るのは、日本人として非常に嬉しいことである。だからこそ、そういった選手たちに侍JAPANのメンバーとして世界大会で躍動する姿を見せてもらいたいのである。そのために、国際大会の価値、そして侍JAPANの価値を高めることが必要である。

待ち焦がれる打者のスター登場-清宮幸太郎にかかる期待-

 単刀直入に、最近のドラフト最注目選手には投手が多い。藤浪晋太郎(阪神タイガース)や菅野智之(読売ジャイアンツ)、松井裕樹(東北楽天ゴールデンイーグルス)、さらに二刀流で注目を集めており一概に投手とは言えないが、162km/hのストレートを投げる大谷翔平(北海道日本ハムファイターズ)などが例として挙げられる。一方で、ドラフト複数団競合となるような打者はあまり存在しない。少年野球では重要度が極めて高い投手に、身体能力が高い子供が起用されることが多いこと等の原因が指摘されているが、もう少し打者の注目選手が多くてもいいのではないか。
 イチローのようにドラフト下位からスターに上り詰めた選手もいるが、松井秀喜やそれ以前の時代のスター打者は、高校・大学・社会人時代から注目を集めてきた。投手と違い、試合展開に関わらずほぼ毎試合に出場する打者はどの試合を観戦しに来た観客をも魅了し、ホームランを打てば例えチームが負けていても観客を満足させることが可能である。
 しかし近年、ドラフトで複数球団が競合するような選手は少ない。そこで筆者が大きな期待をしているのが、現早稲田実業高校2年の清宮幸太郎選手である。昨年1年生で出場した夏の甲子園での活躍は記憶に新しい。1年生にしてクリーンアップを担い、ホームランを打つ姿は、今後の成長する姿を非常に楽しみにさせるものであった。より確実性を増した打撃で、既に高校通算36本塁打(4月10日現在)を放ち、今年、来年の甲子園での活躍も期待される。プロ入りしても、球団の垣根を超えてファンを魅了させるホームランを放つ、「ホームランアーチスト」になれる可能性を持つ清宮に期待したい。

画像: 早稲田実業高校で2年生になった、清宮幸太郎。今年の夏も甲子園出場なるか。

早稲田実業高校で2年生になった、清宮幸太郎。今年の夏も甲子園出場なるか。

終わりに

 先日、筆者は今シーズン初めての野球観戦に東京ドームへ出向いた。
 相変わらず満員の観衆で、巨人・阪神の伝統の一戦ということもあり、大きな歓声に沸いていたが、昨年までの「代打・高橋由伸」がコールされた時の歓声を超えるものはなかったように感じる。
 今後、打席に立ったり、マウンドに登ったりするだけで、割れんばかりの歓声を巻き起こすようなプロ野球を盛り上げる選手が出てくることが非常に楽しみである。

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