2020年、幕張メッセがオリンピック3競技とパラリンピック4競技の会場として利用されることが予定されている。その幕張メッセが位置するのが、千葉県、千葉市美浜区と習志野市にまたがる幕張地区である。「新都心」としての役割を担うため、開発・発展を遂げてきた幕張であるが、近年は進出していた企業の都心回帰等の問題もある。「職」「住」「遊」「学」の併行が可能な街の建設を目論んだ幕張の今後は、2020年を転機にどう変化するのか。4年という近未来から、それ以降の中・長期的な未来まで、現在挙げられている問題から、様々な視点で複数回に分けて考察していく。
 第1回の今回は、当然2020年にも問題となるであろう、「アクセス」の面を考える。東京都心からのアクセスの良し悪しによって、客足の数は大きく異なることが予想され、将来的に見ても、幕張が都市としてどのように発展していくのかに関わる重要なファクターであることは間違いがない。

画像: 幕張メッセ北ホール。 幕張メッセは10を超えるホールを持ち、非常に多くのイベントが行われる。

幕張メッセ北ホール。 幕張メッセは10を超えるホールを持ち、非常に多くのイベントが行われる。

現在、幕張に行くには

 メッセに留まらず、人工浜・「幕張の浜」やプロ野球千葉ロッテマリーンズの本拠地・QVCマリンフィールド等で現在も多くのイベントが開催される幕張であるが、都心からのアクセスが一概に良いとは言えない。メッセに行く場合、最もスタンダードとされるのが、JR京葉線・海浜幕張駅で下車するパターンである。東京駅から海浜幕張駅までは特急を利用すれば最短23分であるが、東京駅において京葉線のホームは他のJR線と隔離されており、乗り換えに時間がかかる。それを嫌う人は、東京メトロ有楽町線やりんかい線で新木場駅まで行き、京葉線に乗り換える方法を取る。都心からだとこの2つの方法が一般的に用いられている。
 また、京葉線以外ではJR総武線を利用する場合が多い。幕張本郷駅からメッセや海浜幕張駅方面のバスが運行されておりそれを利用したり、幕張駅から歩いたり(幕張駅からメッセ周辺までは2kmほど)することが可能である。京葉線が強風の影響で運行を停止することも多く、このルートを使う人も一定数いる。他にもJR京成線の京成幕張駅を利用することも出来るが、こちらは現状あまり使われていない。

画像: 現在、幕張に行くには

 乗り換えの煩雑さや多さ、駅についてからメッセまでの距離等を考慮すると、それほど簡単に行くことが出来るとは言えないのである。

将来的な実現は可能か -りんかい線と京葉線の相互直通運転-

 新木場駅でりんかい線から京葉線に乗り換える場合があると書いたが、その2路線の相互直通運転を今後実現させる計画がある。千葉県の森田健作知事が2014年、正式に直通運転を目指すことを発表している。本当に実現すれば新木場駅で乗降することなく、都心から幕張に向かうことが可能になる。幕張に限らず、舞浜や習志野にも都心から直接行くことが出来るようになり、利便性は大きく向上するであろう。
 しかし、実際には即時的な実現が見込めない。簡単に言えば、IC乗車券が発達した現在、運賃精算が非常に複雑になってしまうのである。りんかい線は、西側の終点・大崎駅で既にJR埼京線と相互直通運転が行われている。そこで、もしりんかい線と京葉線の相互直通運転が実現した場合に、新宿駅から海浜幕張駅に向かおうとした場合、
①新宿駅→(埼京線)→大崎駅直通(りんかい線)→新木場駅直通(京葉線)→海浜幕張駅
②新宿駅→(JR中央線)→東京駅→(京葉線)→海浜幕張駅
というように、りんかい線を利用する場合①と、しない場合②がある。直通運転により新木場駅で改札を通過しないと、りんかい線を利用したのか否か、海浜幕張駅で下車する際に判別が出来ない。りんかい線とJR線の運賃が異なるため、①と②で料金に差があり、どちらの料金体系で精算するのかが問題になるのである。JRの料金体系を利用した方が運賃は低いが、そちらに合わせるとりんかい線だけで採算をとっている東京臨海高速鉄道株式会社の経営が苦しくなる。だからと言って、りんかい線の料金体系に合わせても、JR利用者から不満が出るであろう。

画像: 将来的な実現は可能か -りんかい線と京葉線の相互直通運転-

 同様に、中野駅と西船橋駅を始・終点駅としている東京メトロ東西線と、中野駅でJR中央線が、西船橋駅でJR総武線が相互直通運転されているが、こちらは現在運賃が高いJRの料金体系を用いて精算を行っている。
 今回問題のケースでも、どちらかの料金体系に合わせるのが実現に向けた一番早い策であると考えられるが、りんかい線が東京臨海高速鉄道株式会社の唯一の路線という、特殊路線であることが難しくしている原因として挙げられるだろう。ただ利便性を考えれば、是非実現して欲しいものである。

幕張地区内の交通インフラの発達

 都心から幕張に至るアクセスについて今までは見てきたが、幕張の中での交通についても記載したい。幕張においては、バスの発達が目立つ(幕張の中心地となる海浜幕張駅から出るバスについて以下のサイトにまとめられている)。

 5社のバスが運行され、非常にバスの便が良いことが分かる。京成バスの中には全国でも珍しい、連節バスが用いられることもあり、利用客の多さ、利用頻度の高さが伺える。幕張西部に開発住宅地区「幕張ベイタウン」が広がっているが、そこの居住者が駅や駅周辺の企業ビルが集まる「業務研究地区」に向かう際に利用することも多い。

画像: 京成バスの中には、連節バスもある

京成バスの中には、連節バスもある

 以上のように、幕張内での交通便は良いため、りんかい線と京葉線の相互直通運転をはじめとする都心と幕張を繋ぐ、より便利な交通インフラがあれば集客も増加し、国際研究都市「幕張」が日本の中で重要な位置を占めることが可能になるのではないであろうか。
 次回は、幕張の「住」の部分から、幕張ベイタウンの現状と今後について考えたい。

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