現在、日本政府は成長戦略の一つとして「観光」を大きな一つの柱として位置付けており、2015年には1974万人を達成し、今年も575万人(1-3月の累計)を達成し3月だけを見ると単月としては初めて200万人を突破し過去最高(201万人)を記録しました。このような旺盛な訪日需要を受け、政府は東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に4000万人、2030年には6000万人の訪日外国人観光客数の目標を設定しました。この目標を達成するためには、ソフトの面の充実も大切ですが、ハードの面の整備も重要になっていきます。例えば空港の処理能力の問題です。都心に最も近い国際空港は東京都大田区にある東京国際空港(羽田空港)ですが、現在のところ発着枠は44.7万回(うち国際線は9万回)で4本の滑走路を同時に使っても平均2分に1回の離着陸が行われており、現段階でも容量限界であるという問題が発生しています。そこで、このシリーズでは首都圏の空港についてあらゆる面から考察していきたいと思います。

世界における羽田空港

 今回は、羽田空港の国際化について紐解いていきたいと思います。では、まず簡単に羽田空港の 紹介をしていきます。羽田空港は国内線と国際線合わせて年間約7500万人(平成27年度統計)が 利用し、世界でも第5位の規模を誇る国際空港です。右の利用者の推移を見ていくと圧倒的に国内線が多いことが分かります。しかし、2015年度統計において国内線は+106%なのに対し、国際線は +464%(09年度比)と伸び率は著しいものであり注目すべき点だといえます。では、なぜ現在利用者数が急増しているのでしょうか?

画像: 世界における羽田空港

羽田の再国際化への道

 1978年の成田空港の開港後、いわば国内線専用空港となっていた羽田空港は2002年度の日韓共催ワールドカップをきっかけにチャーター便(主に旅行会社や航空会社が貸切る形態)の運航が開始 され、翌年には国際定期チャーター便(個人も航空券が購入可能になる)の運航が開始されました。それ以来、ソウル(金浦)、上海(虹橋)、北京、香港といったアジア各都市に就航しましたが、 この段階ではまだ完全な定期便ではないのに加えて、発着枠および国際線専用の駐機場やターミナルの不足等の影響で便数も限られてしまい、近距離アジア路線にしか就航できないという制限もありました。そこで、2008年に国際線ターミナルの着工を開始し、2010年羽田空港4本目の滑走路D滑走路の運用開始とともに国際線ターミナルの供用も開始され、昼間時間帯に東アジア方面に、深夜・早朝時間帯に欧州・北米・東南アジア方面への定期便の運航が始まりました。こうして、羽田空港に再国際化の風が吹き始めたのです。2014年には発着枠の増加に対応して、国際線ターミナルの拡張や ホテルなどの商業施設が拡充され利便性の向上が図られました。また、この拡張に合わせて昼間時間帯に欧州・アメリカ西海岸方面への定期便が開設され、空港には世界各国のエアラインが翼を並べるようになりました。今秋には、アメリカ東海岸への直行便の運航が始まり、ビジネスからレジャーまであらゆるニーズにこたえる国際空港へと進化を遂げ、さらなる飛躍が期待されています。

画像: 羽田空港国際線ターミナルホームページ 就航都市一覧より引用 www.haneda-airport.jp

羽田空港国際線ターミナルホームページ 就航都市一覧より引用

www.haneda-airport.jp

羽田のネットワーク

 先述の通り、羽田は国内線専用空港の肩書から再び世界の羽田へと動き出しています。ここでは、具体的な路線展開などを通して2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックとその先の未来における展望を見ていくことにしましょう。現在、就航中および就航予定の都市を結ぶ便の発着時間帯を表にまとめると以下のとおりです。

画像: ※運航便数が一番多い曜日で算出 ※出発日基準

※運航便数が一番多い曜日で算出 ※出発日基準

この表で明らかに不自然な点が一つあります。それは、昼間発着のアメリカ行きの便がないことです。これは、日米の航空交渉がつい先日まで合意に至らなかったためであり、再国際化から6年でようやく北米への直行便の運航が可能になったのです。なぜ、このようなことが起こったかというと、実は航空会社は自由に路線を展開することができないのです。(一部の国とはオープンスカイ協定締結中)一般に航空路線の開設には政府間の合意が必要であり、合意後にも双方の国内で発着枠をめぐる激しい競争が繰り広げられるのです。特に羽田空港は都心へのアクセスが良い点、24時間運用であるため柔軟なダイヤ編成が可能な点、ビジネス需要が大きいため年間を通じて高い収益性が見込める点など大きなメリットが得られるために航空会社にとって羽田の発着枠は喉から手が出るほど欲しいものとなっているのです。この詳細については次回以降の記事に掲載していこうと思います。

画像: 再国際化が進む羽田の国際線ターミナル                          撮影:TAKU

再国際化が進む羽田の国際線ターミナル                          撮影:TAKU

参考:【AIRLINE 2010年10・11月号】イカロス出版

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