舛添要一前都知事の辞職に伴う東京都知事選が7月14日告示される。31日の投開票に向け、長いようで短い選挙戦が始まる。参院選と重なったことから、いつも以上に候補者が定まらなかった今回の都知事選。TOKYO HEADLINEと連携している『JAPAN MOVE UP FRESH! By Abema TV』では告示直前の13日に、作家で元東京都知事の猪瀬直樹氏をゲストに呼んで、今回の都知事選を理解するヒントを聞いてみた。その模様を紙上採録する。

画像1: 撮影・上岸卓史

撮影・上岸卓史

——都知事選が分かりにくい構図になっています。石田純一さんが立候補の意思を表明したと思えば、野党の統一候補として古賀茂明さんの名前が浮上し、結局鳥越俊太郎さんということになりました。そして保守のほうは分裂して増田寛也さんと小池百合子さんという形になっています。

猪瀬氏「構図は単純だね。まずは石原−猪瀬都政を誰が継ぐのかということ。舛添さんは石原−猪瀬都政を継がないで、オリンピックも含めて非常に消極的で、しかも湯河原に毎週行っていたりとかどうしようもなかったんだけれども。石原−猪瀬都政を継ぐというのはどういうことかというと、きちっと東京から国を変えていくということになるんです。そうすると今、問題はそれを邪魔する人たちは誰かということで、既得権益というものがある。既得権益というのは、今、東京都連の内田幹事長という人がいて、そして自民党から誰を押すかと(なった時に)、小池百合子さんが名乗りを挙げたら、“俺は気に食わない”となったわけ。そうすると推薦しない。で、増田寛也元岩手県知事を引っ張ってきた、ということ。まあ鳥越さんという人もいるけれども、これは問題外なんです。なぜかというと増田さんも小池さんも実務をやってきている。ところが鳥越さんが都知事になっても仕事が分からないと、昔の青島知事と同じで、(都庁に)行っても何をやっているのか分からなくなるから、結局、議会の思うがまま、議会と役人の操り人形になってしまう。舛添さんもそういう意味では傀儡政権で操り人形になっていた。そういう意味では増田さんと小池さんのどちらが操り人形にならないか。今は都連が押している増田さんは操り人形になるんじゃないかということなんです。そうすると、今日は告示の前ですから。明日告示だよね。だから割と好きなこと言っていいと思う。やっぱり既得権益と戦うという意味では小池百合子さんがやはり適任者だと思います」

——なぜ今回、自民党都連は増田さんを押しているのか。小池百合子さんが「私、やりたいです」と手を挙げましたが、なぜダメなんでしょう?

猪瀬氏「小池百合子さんは都政の透明化ということを言っているんですね。都政の透明化というのは、すなわち、議会。政務調査費を含めて、いろんな利権を握っている人たちがいる。そこにメスを入れるということなんです。それは大事なことなんだけど…、僕はなんで辞めたのか。それはその既得権益とぶつかっちゃったからだよね。そこをもう一回、小池さんにやり直してもらって、僕は都議会自民党の都連とぶつかって、最初に副知事になったときに、参議院の議員宿舎を潰しちゃった。そこは千代田区の内田幹事長、(都議会自民党の)ボスの場所だったから、そういうところからずっと含めて、いろんな形で嫌がらせを受けてきて、で、例の徳洲会問題になっちゃった。あれも結局、都議会自民党が選挙に協力しないということなんで、いろいろなところに僕が頼みに行った時にたまたまお金を貸してくれた。でも結局、連合がポスターを張ってくれたんで、お金は使わないで後で返した、ということで支報告書の記載漏れということになったんですね。それで終わったんです。でもそのときは収賄みたいな騒ぎにされちゃって、発泡スチロールの、あれ入りっこないものを入れさせるといった人民裁判みたいな形で総務委員会でずっとやられて、メディアもそれで炎上しちゃった。皮肉なことに後で検察が調べたら、収賄の疑いは一切ないわけ。なぜかというと通話記録とかパソコンとか提出していますから、全部分かるんです。それで逆にいえば冤罪が証明されるんだけど。ただ、その5000万円借りたものを返したんだけれども、記載していなかった、ということで、記載漏れということになって略式起訴で罰金50万円ということになったんです。ただその時は、要するにいらなくなったから。つまり個人的に借りたものだということで、返せば終わりだと思っていたんだよね。それで都議会自民党がポスター張ってくれなくて、突き返してきたんだよね。だからあちこち頼んだら、最後、連合が張ってくれたわけ。だから使わないで返しているから、そんなに大きな問題ではないんですね」

——メディアにも出ていますが自民党都連が、推薦候補以外は親族含めて支持したら処分するということのようです。

猪瀬氏「増田さんを一応推薦したわけでしょ。で、小池さんは推薦していない。その文書の“非推薦議員を応援したら”というのは、つまりこれは小池さんのことだよね。小池さんを応援したら除名する。しかも“親族まで含める”って書いてあるんだよね。これって北朝鮮と変わらないじゃない、ねえ(笑)。こういう文章を書くこと自体が、やっぱりね、はっきりいって東京都議会というのは、そういう北朝鮮体制みたいになっているわけですよ。そういうところで石原さんも苦労して来て、僕も真正面からぶつかっちゃって、僕はやられちゃったんだが、オリンピック招致で忙しくて、帰ってきたらバーンとやられちゃった。だから本当はもっと準備期間があれば、もうちょっと議会に対して手が打てたんだけど、打てなかったのは残念なんです。だから小池さんに頑張ってもらうしかないなと思っているんだけどね」

——猪瀬さんが考える、都知事に必要なものとは?

猪瀬氏「結局、小池さんと増田さんが議論をしていても、増田さんの言葉は割と役所の言葉なんだよね。行政(というか)官僚の言葉だよね。小池さんはある種、自分の言葉をぱっと言える。鳥越さんの場合は、東京都というものの組織とかほとんど分からないでしょ。実務経験は全くないから。だから青島幸男さんみたいに、行って、何やっていいか分からなくなって、結局、議会と役人に操られることになってしまう、と思うんだよね」

——東京一極集中の是非について。有名な話ですが、増田さんは「東京消滅」という本を書かれています。

猪瀬氏「増田さんは岩手県知事を3期やって、その前は建設省の官僚。だから地方の立場ということで、こういう一極集中に反対していたけれど、一極集中一極集中って言うけど、基本的には人口が集まってくるのはしようがないわけで、逆にいえば、東京の持っている力を各地方に、もう1回いろいろな形で配分していけばいい。それを、国が配分するのがすべてではない。例えば僕が副知事だった時に、東京都の職員を夕張市に派遣したんです。(彼は)今、夕張市長になっています。その時も一人派遣しただけではなくて、何人も派遣した。通年で派遣する人と1週間ごとに交代するボランティア的な人と分けて派遣した。そういうことがきっかけで東京だけでなくいろいろなところから夕張にボランティアをやる職員が集まってきて、今は市長が頑張っている。元東京都の職員が。そういうふうに、東京の力というのは、集まった力を東京が配分すればいいんであって、国に全部預けて国が全部配分するという発想がそもそも間違っているし、国は融通の利くやり方が、縦割りだからできないんですよ。だから東京から国を変えるというのは、東京はそういうことをきちっとやる、そういう役割を持っているということなんです」

——増田さんは総務大臣の時に地方交付税を財政力の弱い自治体に優先的に配分する政策を打ち出しました。これについては猪瀬さんも舛添さんも「何とかしてほしい」という要望を国に出していました。

猪瀬氏「東京のあれ(税収)を財務省にもっていかれるという、ね。ただね、東京自身もいろいろ問題があるんです。例えば、千代田区なんかは高校生の医療まで無料なんですよ。これは内田茂という都連のドンがいるところです。千代田区は税収が多いので。そうするとある程度、足立区などは税収が少ないのでならしているんです。そういう制度が東京にあるんだけど、それでも(千代田区には)余計にあるから高校生の医療の無料化とかね。“そりゃ違うだろう”と。そりゃ地方からすれば“なんだ”となる。多摩地域からいえば“なんで23区だけそんなにいいんだ”となる。しかも“なんで23区の一部だけいいんだ”と。こういうふうに批判が出るので、そういうところは一極集中の、ひとつの問題点なので。だけど、それは具体的にどこが問題かということを明らかにして変えていけばいいわけなんです」

——東京は広いです。島もあるし、多摩地域もあるし…。

猪瀬氏「島しょ部とか多摩地域とか、あるいは足立区を含めてお金があまり回ってこないところとか。それをできるだけ平準化していかなければいけない。そういうことです」

——最後に2020年東京オリンピック・パラリンピックについて。猪瀬さんは招致に関わられていた。「東京」という言葉を聞いて、全国民がわきあがったシーンもあったんですが、その後ゴタゴタ続き。今年はリオで夏季五輪があります。これから盛り上がるのかもしれませんが…。

猪瀬氏「問題はね、組織委員会で会長が森さんじゃない? 僕は招致委員会の会長で、僕がやめてから組織委員会を作るということになるわけですよ。その時に、組織委員会を作りかけていたんですが、僕が辞めさせられちゃったので、森さんが会長になって、それからガバナンスが変になってきた。いろんな失言も多いし、新国立競技場問題も、これもガバナンスのない状態で作り上げられていったので、本当は東京都が主導してやっていくはずだったんだけど、東京オリンピック・パラリンピックは国に奪われちゃっているところがある。それで無責任体制みたいな形になっていったんだよね」

——オリンピック・パラリンピックは基本的に都市が招へいするわけですよね。

猪瀬氏「そう。サッカーのワールドカップは国なんですよ。オリンピックは都市。僕が招致に成功した時に“IOC TOKYO”と言ったときに、あの時にサインをするのは東京都知事とJOCの会長の竹田さんなんです。ですから、安倍総理がサインをしているわけではないんです。舛添さんがオリンピックに消極的だったものだから、そして森さんがいたから全部、国のほうに持っていかれちゃっていて、東京が主導権を失くしているところがあるので、そこもちょっと小池さんがもし(都知事に)なったら頑張ってもらいたい。森体制についても、きちんとメスを入れてもらいたいなと思ってます」

——やはりそういう一人の大物によって、そんなに牛耳られてしまうものなんですか?

猪瀬氏「まあ、僕みたいに楯突く人がいなくなったから(笑)。それが問題なんだな〜」

——この番組は東京から日本を元気にしようという「TOKYO MOVE UP!プロジェクト」というものがありまして。猪瀬さんが先ほどおっしゃっていたように、東京が世界都市として元気じゃないと日本は。世界との競争もあるじゃないですか。その東京の活力を地方創生などと連携してやっていこうということで…。

猪瀬氏「東京一極集中じゃなくて、東京の活力を地方へ。東京は東京でどんどん先に進んで行っちゃって、ここまで来たぞ!といって、みなさんに戻していく、地方にね。そういうことなんだよね」

——2020年に向けて日本を元気にしていくために「私はこんなことをします」というアクション宣言をいただいています。猪瀬さんにもぜひお願いします。

猪瀬氏「僕は5年前からずっとランニングをやっているんです。中学の運動会から一度も走ったことがないんだよ(笑)。それでね、ある日突然“やる”って決めて、家の周りを300メートルを走ってみたんだよ、ヨタヨタしながら。今度は“駅まで500メートルだ”というふうにだんだん距離を延ばしていったら、1年後に東京マラソンに出たんだよ。まさか300メートルから走り始めて1年後に東京マラソンに出られるとは思わなかったんだけど、だんだん欲が出てきて、10キロくらい走れるようになったら、“あれ? もしかしてこのまま10キロを4回やったらいけるのかな?”とか考え始めて、それが東京マラソンに出る数カ月前。大事なことなんだけど、東京マラソンって1万円払って競争率10倍くらいじゃない。3万人くらいの枠のところに30万人くらい(応募が)来るじゃない。僕は10万円払う寄付の枠(で走った)。そこはすかすかなんです、人が。だから入れるんだよ。10万円というのは要するに納税と同じで、公益法人に行きますので、控除されるんです。やったほうが得なんです。イギリスなんかでも、ロンドンマラソンなんて100万円払う人がいっぱいいるんです。みんなそうやってチャリティーでやるんです、本来は。自分だけ1万円払って楽しもうってことじゃなくて、10万円払えば枠はあるよっていう、考え方ですよ」

画像2: 撮影・上岸卓史

撮影・上岸卓史

——で、アクション宣言は?

猪瀬氏「これまで5年やったから5000キロまでは走っていないけど、年間700〜800キロは走っている。だから2020年に間に合うかどうかはともかく、目標を持つことは大事だから、1年に1000キロ走れば、10000キロだよね。これくらいのつもりでいると。8000でも9000でも、とにかくね。いま5000キロ近くは走っているからね」

 健康の秘訣でもあるんですよね。

猪瀬氏「やっぱり血液の循環が良くなる。だからそういうことは絶対やったほうがいい。だけど夏の暑いときとか冬の寒いときとか…、ジムでやっていちゃダメなんだよ、外に行かないといけない。起動スイッチを入れるのが大変。でも季節感を感じるから。やはり春は春、梅雨の季節は雨が降ると走れないけど、“ああ、いまこういう季節なんだな”と風を浴びることがすごくフレッシュになりますので、ぜひ皆さんにもお勧めしたいと思います」
(収録と配信:2016年7月13日)

画像: 【都知事選】元東京都知事・猪瀬直樹氏が東京都知事選の問題点をばっさり!!

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