画像1: 撮影・蔦野裕

撮影・蔦野裕

妻夫木聡 SPECIAL INTERVIEW

 それは、雨の日に現れるカエルマスクの殺人者—。『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督が人気コミックを実写化した話題の映画『ミュージアム』が11月12日より全国公開。本作の象徴ともいえる、悪の権化のようなキャラクター“カエル男”を演じるのは何を隠そう、日本を代表する俳優、妻夫木聡! 

画像1: ©巴亮介/講談社©2016映画「ミュージアム」製作委員会

©巴亮介/講談社©2016映画「ミュージアム」製作委員会

“カエル男”は頭で考えて演じる役ではないんだろうなと思ったんです。
それで、とりあえずマスク を被ってみよう、と思いました(笑)

“怖い!”“ヤバい!”と話題を呼んだスリラー・エンターテインメントがスクリーンで新たな衝撃を放つ!

「まさか自分に、この役が来るとは思っていなかったので話を頂いたときは相当、驚きましたね(笑)」

 公開前に行われたプレミアで明かされるまで、誰も想像しなかったはず。何しろ今回妻夫木が演じるカエル男は、マスクを被っている間はもちろん脱いだ姿も特殊メイクが施され一見、妻夫木とは分からない姿になっているのだ。

「こういうユニークな役でお話を頂けるのは、僕にとって、すごくうれしいことなんです。普段、演じないような役に挑戦するのは役者としても刺激になりますし。それに僕はもともと原作を読んでいて、すごく好きな漫画だったんです。常にアンテナを張っているとか映画化を考えたといったことではなく単純に、面白い作品だなと思って読んでいたんです。カエル男も、すごくチャーミングで。漫画ならではのチャーミングさというか、魅力を感じたんです。普通に考えれば、ただのサイコパスなんでしょうけど(笑)、それがリアルすぎないというのかな。この映画自体も、そういう作品に仕上がっていると思うんですが、衝撃度は高いのに見ている側は、どこか楽しんでしまうんですよね。それはおそらく、カエル男が持つキャラクターの魅力によるところも大きいと思います。怖いだけじゃないんです。この作品は一つの路線に行きすぎていない。恐怖や緊張感と、好奇心や興奮といった感覚がギリギリのラインで絶妙なバランスを保っているんです」

 そんな複雑な魅力を持った猟奇殺人者を、どう役作りしていったのか。

「大友監督からも、映画でやる以上は映画としての魅力を出していきたいとうかがっていたので、僕なりにカエル男をどう表現するか、いろいろと考えました。監督とも話していたのが、彼は完璧主義者だということ。原作だとわりと病弱そうなイメージの人物なんですが、映画では、完璧であるために筋肉質な設定にしようということになりました。身体を鍛えるシーンも撮りたいと監督が仰っていたので、嫌いなジムにも数カ月通いました。結局そんな撮影は無かったんですけどね(笑)」

 筋トレシーンはなくとも、小栗旬演じる沢村刑事とぶつかり合う肉体の強靭さから、カエル男がかつて無いタイプの殺人者であることがうかがえ、一層、危険なキャラクターになっている。しかもその内面は、殺人を作品と称し自らをアーティストと名乗る思考の持ち主だ。

「参考になりそうな作品を見て考えたりもしたんですけど、たぶんこれは頭で考えて演じるものではないんだろうな、と思ったんです。彼らには彼らなりの考え方があって、他の人からは理解できないことでも彼らの中ではつじつまが合っている。普通の人とは志向が違うけど、本人にとってはああいう行為が幸せなんでしょう。これはもう思考回路を変えないといけないんだろうなと思い、取りあえずカエルマスクを被ってみよう、と(笑)」

画像2: 撮影・蔦野裕

撮影・蔦野裕

 カエル男の日常をなぞるような作業も、役作りに役立ったようだ。

「本作で造形と特殊メイクを担当している百武朋さんの事務所に、勉強をさせてもらいにお邪魔したり、自宅でも作ってみたり、そういう作業からやっていました。物を作る作業というのは楽しいし、作業中は無になって没頭できる。役者をしていても芝居でゴールを感じることは無いので、ものを完成させるというゴールのある作業をすることも僕にとっては目新しく楽しいものでした。その感覚は、完璧主義者であるカエル男にも通じるものがあったと思います」

 サイコパス的思考の持ち主、完璧主義者…人物像をつかんでも、共感することは難しい悪人。そのギャップをどう消化していったのか。

「そもそも、そういうギャップを僕の中で消化してないし、しなくていいのかなと思います。カエル男の気持ちが分かったとしても、それはあくまで僕が分かったというだけのこと。僕が、カエル男に共感できなくても彼の中で筋が通っていれば、それでいい。僕自身がその人物になって楽しんでいれば、そこから表現された芝居というのは真実に変わるんじゃないかな。今はそういう概念を持って芝居をしています。自分の自我を捨てる芝居、というか。だから本当に今回は、出たとこ勝負というか。マスクを被ってみて、どうなるかという感じでした。マスクを被って声を出してみて、ああ、こういう声なのかと自分で気づいたり。もちろん、それにとらわれても面白くないので、その都度、状況に合わせて演じましたけどね。考えてみれば、彼もカエルマスクを被ったときはカエル男になるんです。つまりマスクをしているときは、彼がカエル男を“演じて”いていい。おとなしい人でも着ぐるみを着るとテンションが高くなっちゃうでしょ(笑)」

 やりたい放題してしまったのでお客さんの反応が心配、と言いながらも楽しそう。

「楽しんでいないと、やっていられないというか。悩みながら演じる役ではなかったですから。事実、この役に入り込んでいたので普段から楽しくてしかたなかったのかも(笑)」

漫画とはまた違う、映画だからこその楽しさを味わえる作品。
僕は見終わってスカッとしましたね

画像3: 撮影・蔦野裕

撮影・蔦野裕

 完成した作品を見た感想は?

「面白かったんですよ。こんなにスカッとしたのは久しぶりだなというくらい、スカッと見れた(笑)。娯楽としての映画の醍醐味を味わうことができました。もちろん、いろいろ考えさせられるような映画も必要だけど、見終わった後に人とわいわい映画の感想を言い合えるのって楽しいですよね。やっぱり大友監督はウマいと思いました(笑)」

 映画としての強みを最大限に生かした作品にもなっている。

「結末を知っていても違うんじゃないかと思わせるサスペンス感もかなり増しますし、やはり生身の人間が演じることによる緊張感というものがありますからね。映画は、漫画のように自分のテンポで読み進めることができないので、じらされたり見せ場で驚かされたりする楽しさがある。そいうところに大友監督の構成力が存分に生かされていると思います。お客さんを完全に楽しませる作品。ハラハラさせて驚かされて物語が終わり、ONE OK ROCKの曲が流れたときの満足感といったら(笑)。昔はみんな、事前情報を持たず、もっと何も考えずに映画を楽しんでいたように思います。映画を見て初めて、こういう物語だったんだ、と知ることも多かった気がする。そういうジェットコースターに乗るような映画の楽しみ方を、もっとしていいと思うんですよね」

 究極の悪を表現した姿からは想像もできない、優しい笑顔。難しい役を演じることも多い妻夫木だがストレスから“悪意”が芽生えることは無さそう。

「いろいろな人に支えてもらっていますからね(笑)。なかでもやはり家族の存在は大きいです。僕はけっこう思ったことを自分のなかでため込んでしまうほう。ため込み過ぎて、それを父にぶつけてしまうこともありました(笑)。でも、そういうことも結局は家族が受け止めてくれて、自分も家族のために頑張りたいと思う。本当に家族の存在は大きいですね」

 ときには恐れることなく自我を捨て、どんなマスクも被りこなしてしまう俳優・妻夫木聡。とくに今回のマスクは必見!

『ミュージアム』

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©巴亮介/講談社©2016映画「ミュージアム」製作委員会

STORY:雨の日だけに発生する猟奇殺人事件。その犯人“カエル男”は“刑”を与えるかのように被害者を殺害していく。事件を追う刑事・沢村は、カエル男の次なるターゲットが、数日前に家を出た沢村の妻だと気づく…。

監督:大友啓史 出演:小栗旬、尾野真千子、野村周平、妻夫木聡他/2時間12分/ワーナー・ブラザース映画配給/11月12日より公開 http://wwws.warnerbros.co.jp/museum/

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