画像: 【インタビュー】松尾スズキ「30年を振り返る」

【インタビュー】松尾スズキ「30年を振り返る」

松尾スズキ+大人計画30 周年記念イベント「30 祭(SANJUSSAI)」12月に開催
30年は長かった? 短かった?
「いつの間にか30年経った気もするし、長かったなという気もするんです。ほとんど休みなくやっていたので、目の前のことを追いかけてやっていたらこうなったみたいな...。そういうと、あっという間だったのかなという気はしますね」
小劇場出身で「30年」の歴史を持つ劇団はそうはない。いまや老舗劇団。
「老舗も老舗だと思いますよね(笑)。でもいろいろ考えてみると、僕一人だったら無理だっただろうな、とは思います。途中で一緒にモノを作る仲間が欲しいと思って、作家募集みたいなことをしたんです。それで何人か入ってきたんですけど、その中で宮藤(官九郎)が生き残って、それで自主公演もやるようになった。それで僕がやっていない間も宮藤がやっているということで、大人計画は常に回転し続けることができた。その間は自分を振り返る暇もなかった。目の前にある仕事をこなしていたら、今ここに居たという気持ち。そういうふうに長めのビジョンを持ちすぎないというのは意外と長く続くコツだったのかもしれませんね。
やはり宮藤官九郎の存在は大きい?
「大きいと思います。あと阿部サダヲという化け物みたいな俳優が入ってきて、彼がどんどん外部で評価されて、新しいお客さんを連れてくるというところもあった」
危機みたいなものはあった?
「う〜ん...。まあ個人的には家庭が崩壊したりして(笑)。そんなこともありましたけど、そういうときこそ宮藤が頑張ってくれていたので、大人計画が停滞していたようには見えなかったと思うんです」
では「良かった〜」と思うことは?
「みんなが順調に育っていってくれたことですね。それは僕にとっても助かることだった。宮藤と阿部だけじゃなく、荒川良々だったり皆川猿時だったり平岩紙だったりが外に出て高い評価を得て、こちらに新しいお客さんを連れてきた時に“あ、この集団面白い”というふうに劇団も評価されていった。最初は僕が一人で頑張って“みんなついてこい”みたいな感じでやっていてすごく疲れる部分もあったんです。みんな素人だったので、全員の役をやって見せていた時期もありましたから」
今回のイベントはさまざまな企画が用意されているのだが、松尾が主にかかわるのは「松尾スズキのお仕事あれこれ」「松尾スズキ原画展」「松尾スズキ30周年記念ファミリーコンサート “なんとかここまで起訴されず”」「エンディングセレモニー “また逢う日まで、生きてたら”」といったところ。コンサートのタイトルが気になる...。
「そうですね(笑)。表現者としてはこれまで結構ギリギリのことをやってきました。ネットがある時代だったら完全にアウトみたいなことも昔はやっていたから、そういうことを考えると、そんなレッテルも張られずによくやれて来たよな、とは思いますよね」
自ら歌う?
「やったことのないことをやってやろうというのが主旨なので、自分のリサイタルを開こうと思いました。そうやって自分を追い込んでいる(笑)。大人のミュージカルナンバーというか、そういうものをだいたい4〜5曲は歌うと思います」
原画展では今回特別に書き下ろしたメンバー全員の似顔絵の原画を含め50点以上の作品を展示するとか。
「これまでイラストの仕事も結構してきたので、そういうものをにぎやかしで並べてみようと思っています」
今回のイベント、そもそもなぜ開催しようと?
「30年とはいえ、30年ずっとうちを追いかけてくれている人なんて、まずほとんどいない状態だと思うんですよね。そういう昔を知らない人たちの前に、おじさんの形で現れた松尾スズキという人間にも若い頃があって、実は若い頃もこういうことをやっていたんだぞ、この姿で生まれていないぞと、いうことを知ってほしいというか(笑)。そういう歴史があるから今がある、みたいな部分もあるので、それを知る最後のチャンスかもしれないというところはありますね」
最後のチャンスですか?
「次、こういうのをいつやるかってタイミングが分からないですよね」
やるとしても10年後くらい?
「10年後だと僕、65歳ですから、そんなエネルギーが残っているかどうか。意外と落語とかやっているかもしれないですね」
では近いところで今後やりたいことは?
「今、映画を撮る準備をしていて、それが取りあえず目の前の一番やりたいことになります。これは自分の中でもエポックな作品になると思っているので、というところまでしか今の段階では言えないんですが...」
(※編集部注:映画「108(イチマルハチ) 海馬五郎の復讐と冒険」は2019年秋に全国公開が決定しました)
今回チャレンジする歌なんかは?
「それは今回やって自分がどれくらい気持ち良い思いをするかですね(笑)。いい思い出として残ればあるかもしれません。どんな思い出として残るのかはまだ未知数なんですが(笑)」
(TOKYO HEADLINE・本吉英人)
松尾スズキにとって「平成」とは?
30年というと来年4月で終わる「平成」と丸かぶり。松尾さんにとって平成ってどういう時代?
「松尾スズキの歴史とイコールですからね。フィクションの世界に片足を突っ込んでいた時代ということになります。突っ込み始めて30年ですから」
いろいろな事件があったが印象に残っているものは?
「月並みですが、9・11と3・11はどうしても思い出しちゃいますね」
9・11はどこで知った? そしてどう思った?
「僕は映画の撮影で富山かどこかのレストランにいたんですが、その時にスタッフが“とんでもないことが起こっているらしい”というようなことを言って、みんなでニュースの映像を見ました。そういえばその時は大杉漣さんもいましたね。これ、ホントかね? みたいな感じでした。“アメリカは爆撃はされないだろう”といった価値観みたいなものが崩れた瞬間というか、ショッキングでしたね」
では3・11は?
「映画のクランクアップが終わって、家に帰る途中でした。家の手前で起こったんですが、自分の住んでいるマンションがぐらぐら揺れていた。すごいシュールでしたね。10階くらいに住んでいたんですがエレベーターが止まっていた。階段で上がるのもちょっとしんどいなと思ったんですが、それ以上に、また次いつ揺れが来るか分からなくて、怖いから家に入る気になれなかったですね」

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