画像: 【徳井健太の菩薩目線】第10回 徳井健太に初めて芸人としての目標を与えてくれた千鳥・ノブさんの一言

【徳井健太の菩薩目線】第10回 徳井健太に初めて芸人としての目標を与えてくれた千鳥・ノブさんの一言

お金持ちになりたいとかモテたいとか、芸人になる理由っていろいろあると思うんだけど、俺は一切そういう気持ちがなくて、ただただ「一番面白い奴になりたい」という気持ちでお笑いの世界に入ったんだよね。
ところがNSCに入って、「これは無理だ」ってすぐに悟った。そこからは吉村に従うままにやってきたし、自分から何かをしたいなんてことも考えてこなかった。なんだかんだで駆け抜けてきたとは思うけど、“蛇足で駆け抜けてきた”みたいな感覚が否めないなって、自分でも思うのね。
今年のはじめくらいに、一期上にあたる千鳥のノブさんと4時間の長尺番組で共演してさ。番宣番組のようなテイストだから、芸人が登場するシーンは少ない。俺は「4時間で一撃を放つのがやっとだな」って思って収録に臨んで、一発だけ打ち込んだ。手ごたえはなかった。その後、ノブさんと飲みに行ったんだ。
そのときに、「お前のように、一歩間違ったら場面が凍り付くかもしれないボケ......言ってみたらリスキーなボケをする奴はいない。同時に、そういう瞬間を待ち望んでいる視聴者もいるから、どんどんやったほうがいい。面白い。これからもお前しか言えないリスキーな笑いを言い続けてほしい」って言われたの。
それまで俺は、誰かから何かを求められているなんて思ったことがなかった。最初に志した旗は1年目で折れ、目標もなく、お笑い界に居続けてきたからさ。だから、ノブさんのその一言は震えたよね。うれしかったし、これからはノブさんのために頑張ろうって思ったもん(笑)。
不思議でしょ? 芸歴18年もやってんのに、目標がなかったなんて。でも、そういう人ってけっこう社会にも多いんじゃないかなぁ。俺の場合は、求められていることをするのがいいんだろうなぁって思って、今までやってきた。シチュエーションやテイストによって、それっぽく振る舞う。でも、最終的にはよく分からなくなる......M・ナイト・シャマラン監督の映画みたいだよ。
自発的に一撃を打ち込もうなんて考えたこともなかったから、ノブさんの一言を受けて以降、会心の一撃を打ち込めるように、タイミングや雰囲気を意識するようになった。芸歴18年目で初めて意識し始めた。当然、ミスることだってあるから、ドラクエの「まじんのオノ」状態だよね。でも、会心の確率を高めていこうという目標ができたことは、俺にとってものすごく大きな変化......それにしても、自分で話していて、よく18年間も芸人をやってこれたなって、つくづく思う。同時に、目標がなくても何とかなるんだなぁとも思う。
目標がないからって、変に焦る必要なんかない
目標がないってのは、言ってみれば四足歩行。ポジティブに考えれば、超伸びしろがあるってことだと思うんだよね。実際に、目標ができた俺は、プレッシャーを感じながらも、ちょっとワクワクしている自分がいるの。二足歩行も悪くねぇなって。
極真空手よろしく、一撃を意識するようになったことが『ゴッドタン』につながっていると思っているから、もし、ノブさんの一言がなかったら、今の俺はない。「あいつは何を考えているのか分からない」って、よく言われていたけど、そりゃそうだよね。目標がないから、俺も何を考えていいのか分からないんだから。
目標がないから頑張れない。一度ミスをしたら、もうやりたくないって思うからひな壇で大人しくしてるしかない。でも、今はミスっても、「もう一回くらいは」って思えるようになったから成長を感じるの。この歳でようやく成長を感じる俺みたいな人間もいるんだから、目標がないって人は変に焦る必要もないと思うよ。
目標がないときは、とにかくカメレオンのように、その仕事、その現場に擬態すればなんとかなる。溶け込むんじゃなくて違和感を与えない程度でOKだから。極端な話、現場で頑張っている人がいたら、その人を真似すればいい。そうやって擬態すれば、給料泥棒とは思われないから。
“自分らしく”とかよく聞くけど、いまだに俺は「自分らしくって言われても、自分らしさが分からない」って思うの。俺のことが好きなコアなファンに対しても、ありがたい一方で、何が好きなのか、俺自身が分からない。ホント、シャマラン映画。
今でこそ、俺はいろいろなアドバイスをすることが多いけど、ノブさんの一言こそ真のアドバイス。カメレオンの俺へのアドバイスじゃなくて、俺そのものへのアドバイスだった。それが今年一番、俺にとって印象的な出来事だった。尊敬する人からの一言って本当に大事。尊敬できるようなすごい人は、擬態に対してのアドバイスじゃなくて、本体に対して投げかけてくる。もしも目標がなくても、そういう人との関係は大事にしてほしい。そこは間違えちゃダメだよね。

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