画像: 根本宗子「このままでは自分の芝居に対して飽きが来るんじゃないかと思った。だから今回は作り方をガラッと変えてみた」

根本宗子「このままでは自分の芝居に対して飽きが来るんじゃないかと思った。だから今回は作り方をガラッと変えてみた」

今回の作品、どんな作品になりそう?
「演劇を始めてから自分の半径何メートル以内の話みたいなものを書いていたんですが、ここ1~2年くらいはそうではなくなってきて、完全にフィクションのものも書くようになりました。今回はその間みたいなところを狙っていこうと思っています。自分の話というわけでもないんだけど、完全にそうではないとも言い切れない感じ」
いろいろチャレンジングな部分があるとのことなのだが。
「チャレンジングな部分は、まず2年前に本多劇場で初めてやったときはリメイクだったんですが今回は完全な新作ということ。2年前はもともと駅前劇場で上演した作品をどうやって本多劇場という大きな規模の劇場に持って行くか、という作り方でした。セットの組み方なんかも、駅前では2つだったシーンに昔のシーンも入れて3つにするといったことをやりました。今まではワンシチュエーションとか、いくつかに分かれた固定されたセットの中でそれぞれのストーリーが進むというスタイルのものしかやっていなかったんですが、今回はセットを役者でがんがん動かそうと思っています。それは初めての経験なので演出的には大きな挑戦になると思います。それ以外にも今までやったことのないことばかりやっています。だから稽古もいろいろ試しながら進んでいる。いつもは自分の中に明確なビジョンがあって、そこに向かって作っていて今回もビジョンはあることはあるんですけど、自分の中でそれが正しいとはあまり信じていない。稽古をしていく中で“全然変わっちゃっていいや”っていうスタンスでやっています。そして今まではお芝居を初めて見に来てくれた人が楽しめるように、ということでお客さんへの伝わりやすさといったことを意識してやっていました。その作り方が強みなところもあったし、多分それにめちゃくちゃこだわってやってきたから、この年齢で今のところまで来れたんだとは思っています。でも “それだけやっていて楽しい?”という思いが沸き上がってしまいました。その作り方をずっとしていると、近いうちに自分の芝居づくりにに対して飽きが来るんじゃないかと思ったんです」
それは自分が? お客さんが?
「私がです。お客さんを満足させられることはできても、自分が飽きちゃうというか、“何のために演劇をやっているんだっけ?”みたいな感覚になりそうだなと思って、今回は作り方自体を結構ガラッと変えてみました。私の芝居では今までは役者の自由度が低かったんです。私が主導権を握っている部分が極めて大きかった。もちろん舞台上で演じるのは役者さんですから、役者さんから出てきたものは取り入れていますけど、私の中で正解が決まっている状態でのスタートだった。それを決めずに始めているというのはかなり違うことだと思います」
なぜ「飽きちゃうかも」といった心境に?
「力はついているはずなのに、芝居を作る自分のキャパシティがどんどん狭くなっている気がしたんです。今までの作り方をしているとそれしかできなくなってしまうんじゃないかと。あと、今まですごくお客さんに寄り添ってきたから、“もうこれくらいのことはやっても大丈夫でしょ?”とお客さんを信じている部分もあります。うちの芝居を見てくださるお客さんって、多分普段はあまり演劇を見ない層の方々が多いと思うんですが、今回はいつも来てくださっているお客さんだけでは客席が埋まらない規模ですから(笑)、ぜひ新しいお客さんにも見てもらいたい。それは演劇を見慣れている人たちなんですが、そういう人たちには“名前は聞いたことはあるけど何だか分からない”みたいに思われているところはあると思うんです。確かに演劇を超見ていた時の自分を思うと、逆に見に行きづらい感じになっているかなって」
演劇を好きな人が見に来にくい?
「そう。見たことがない人の中に“根本宗子ってこんな感じでしょ?”というものが出来上がっていると思うんです。でも私としては“その人たちが思っている感じとは違うことをやっているはずなのに見に来てもらえない”といったもどかしさはずっとありました。だから今回は今まで9年やってきたことを経て新しいことにチャレンジするので、演劇を見慣れている人にも見てほしい、といった思いはあります」
家族をテーマに設定したのは?
「何年か前に『忍者、女子高生(仮)』という作品を作ったんですが、それも家族の話といえば家族の話でした。書いていてすごく楽しかったんですが、もう少し違う書き方ができないかなと考えていたら、やってみたくなった。でも今回は家族といっても父母は出てこない。四姉妹の話。きょうだいって育ってきた環境は同じはずなのに大きくなると全然違う個性が出てくるじゃないですか。私はきょうだいがいないのでその感覚が分からないんです。でも、もしいたとしたら自分と同じ育ち方をしているのに全然価値観が違う人がほかに存在しているというのは面白いなと思って、4人が4人全然バラバラな姉妹を書いてみようと思いました」
ホームページで作品について語る根本の言葉では「信じる」という単語が強調されている。
「これは家族に限らない話で、自分が演劇を作っていくうえで、何度も一緒にやっている人とはすごい信頼関係が築けていると思っていたんだけど全然築けていなかった、みたいなことがあったんです。もう全然...ひょい、って裏切ってくるみたいなことがあった。それでも自分が一緒にやりたかったら、もう1回その人を信じてやるしかない。そう考えるとこっちのほうがヘビーだよなって思うんです」
そしてそういうこちらの思いはなかなか伝わらない...。
「何を信じるか、何を正しいと思っているか、みたいなもの。私の芝居ではいつもだと正論を言う人がはっきりしていて、自分の中での正義をひとつ背負わせている役があるんです。その人が訴えても周りがおかしいから正論が通らないということを書いてきたんですけど、今回はどの人が正論なのかも分からないし、見る人から見たら誰も正論を言っていない、みたいなことを書いてみようかなと思ったのかな。書く視点は結構変えているんですけど。いつもよりは」
今回、村杉蝉之介が犬と人間を演じるとか。
「愛犬が死んだタイミングで出会うので、主人公の女の子には面影があるように見えてしまうんです」
その他の出演陣、男性を見ると...。
「田村さんはここのところ続けて出てもらってて。田村さんと一緒に芝居をやったのは私の中で結構大きいことでした。私、これまで芝居で間をあまりとって来なかったんです。ひっきりなしに人が喋っていて、情報量が多い。いらない間はいらない、みたいなことをやってきたんですが、田村さんとやった時に、“間をどうするかが役者の仕事だ”と言われている気がして、“そりゃそうだよな”と思いました。間が続けて2つあっても決して同じ間にはしないというのが面白いなと思って、そういうことを委ねても面白いかも、という視点で俳優さんを探したんです。岩瀬さんは田村さんより前から知り合いでした。互いに“出たい”“出てほしい”と思っていたんですが、岩瀬さんにふさわしい役が今までなかった。でも今年10月に『コンビニ』という作品でやっと一緒にやることができてすごく面白かった。用松さんも岩瀬さんと同じくらい前から知り合いで、シンクロ少女に出演されているのをずっと見ていて、こんな面白い人がいるんだとずっと思っていました。用松さんは稽古していてもめちゃくちゃ面白いです。何をやっても面白い」
4月からは「オールナイトニッポン0」のパーソナリティーを務めている。これは演劇をやるうえでプラスになっている?
「ラジオがもともと好きなので、ラジオが好きな人がもっと演劇に来てくれたらいいなと思ってやっているところがあります。それにラジオの中でフリートークがあって、1週間に何があったかという話をするから、いつもより自分の話をしている時間が増えたんですよ。自分の事って作品を作る時やこういうインタビューの時じゃないと振り返らないじゃないですか。それが今では今週自分に起きたことの中で何が一番面白かっただろうって毎週考えなきゃいけないので、すごく自分のことを考えるようになりました。考える時間を持つというのは芝居を作るうえでもラッキーだったなと思います」
さまざまなジャンルから注目される存在になっているが、あくまで主戦場は演劇ということでいい?
「演劇以外のことに全然興味がないんです。小説書くのもあまり興味がないし、映画やドラマの脚本を書くのもあまり興味がない。いや、興味がないとか言ってやりたいのはやってますけど(笑)。めちゃくちゃ、ごめんなさいしているものが多いんです。ドラマや映画に声をかけてもらうこともあるんですが、映画の脚本を1本書くんだったら、舞台を1本やるほうがいいから舞台を選んじゃっている。だからお金持ちになれない(笑)。両方を器用にできるようになればいいんだろうなって思うんですけど、今は演劇。やりたい題材があったとして、ドラマでも演劇でも書けるなっていう時でも、まだ演劇で書くことのほうが多い。だから演出するということも含めて好きなんだと思います。自分が映画やドラマの面白さを発見できていないだけかもしれませんけどね」
今回の作品はラストの公演が大晦日の21時30分から。その後にカウントダウンのイベントを行うとのこと。文字通り2018年の演劇界を締めくくる公演となる。そして来年は3月にM&Oplaysプロデュース『クラッシャー女中』で間を置かずして本多劇場で作・演出を務める。「まだ言えない」企画もあるとのことで、2019年もその勢いはとどまるところを知らない。(TOKYO HEADLINE・本吉英人)

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