画像: 「スポーツカメラマンが選ぶ今年の1枚」アーティスティックスイミング 絵になる外国人選手

「スポーツカメラマンが選ぶ今年の1枚」アーティスティックスイミング 絵になる外国人選手

外国人選手を撮る時はこうやってイメージっぽく撮ることが多いんです
まず田村さんの中での「2018年の1枚」を上げてください。
「今年4月に開催された『アーティスティックスイミング JAPAN OPEN 2018』での写真です。外国人選手ですね。日本人選手の場合は普通に顔が分かる写真を撮りますが、外国人選手を撮る時はこうやってイメージっぽく撮ることが多いんです。それは肉眼で見ているよりも、オーバーリアクション気味のほうが写真映えするので外国人選手のほうが絵になることが多いから。これは個人的に感じることですが、体型とか表現力も全然違うと思います」
アーティスティックスイミングって表現力が重要なスポーツ。日本人選手、そこが弱いのは致命的なのでは?
「弱いというわけではないと思うんですが、僕はこういう写真を撮ろうと思った時はあまり日本人は狙わない。顔が分かる写真を撮るというのは日本の媒体ではそういう写真を望むところが多いからです。だから写真を撮るうえでも考え方が全然違う。最初に会社に入った時はそのオンオフができていなくて、結構苦労しました。今はこういう選手の時はこういう写真で、というふうに切り替えて写真が撮れるようになりました。外国人選手の写真は必ずしも顔がはっきり写っていなくてもいいので、外国人選手はすっきり撮れます。選手が20人エントリーしているとして、日本人選手が1人だったら残りの19人は自由に撮れる。なので、リストを見て日本人の時だけ、“あそこにいけばこういうふうに撮れるな”というふうに気を付けるだけ。ありがたいといえばありがたいです」
大学を卒業してアフロに入社。学生の頃からモータースポーツの取材をしていたとか。
「僕はもともと車が好きでレースの写真を集めていたんです。最初はチケットを買ってサーキットの客席から撮っていたんですが、“プレスエリアで撮りたいな”と思うようになって、18歳くらいの時に媒体に売り込んで、パスを出してもらえるようになった。モーターレースは事故などが起こる可能性があって危険だから保険の関係で18歳以上じゃないと中で撮ることはできないんです。それで18歳から中で撮りだして、大学の時もずっと。そして大学卒業でアフロに入りました。学生の頃はコンテストによく応募していた。落ちていたら将来カメラマンになろうなんて思わなかったんでしょうけど、応募するもの全部に入賞した。それで、“カメラマンでいけるんじゃないか”って勘違いして、この業界に入りました」
売り込んだからといってそう簡単に採用される世界ではない。
「もともとはレーシングドライバーを目指していました。でもなれないのがだんだん分かってきて、カメラマンを目指して写真の大学に行った。土日はレースを撮って、平日は大学に行く生活。望遠レンズとかいろいろな機材も全部持っていて、もったいないので他のスポーツも撮り始めた。そのうち“スポーツを撮るならオリンピックを撮りたいな”と思って、それならどこだろうと調べたらここアフロだった。3年生の時の就活が始まるころに初めてメールをして“明日からでもやれます。決まったら大学を辞めてもいい”って書いたんですが、なかなか返事が来なかった。それでも毎週メールを送っていたらある時、一度返事が来た。“DVDを送ってください”ということだったので送ったんですが、また返事が来なくなって、2カ月後くらいに“面接をするから”って連絡が来た。そこで面接を受けたんですが、落ちると思っていたので “写真は持ってこなくてもいい”と言われていたけど、“青木紘二(=株式会社アフロ代表/スポーツフォトグラファー)に写真を見てもらえるチャンスなんてそうあるものではないから”と思って持っていった。そして青木が見て“うちくる?”って。それで決まったんです」
もともと国内のレースが好きだった。初めてF1を撮りに行って「撮るならF1だな」って思っちゃいました(笑)
モータースポーツにかける情熱は並々ならぬものがあるようだ。
「もともと僕はF1に興味がなかったんです。スーパーGTといった国内のレースが大好きで、国内のレースを追い詰めて、それで死ねれば本望と思っていた。そのくらい国内のレースが大好き。F1は...。世代の問題もあると思うんですが、僕の時代はセナは亡くなっていて、シューマッハがトップだったんですが、僕はそこまでシューマッハに魅力は感じなかった。なのでシューマッハとハッキネンの時代はさほどF1を撮りたいとは思っていなかった。」
やはりレーシングスポーツはドライバーの魅力によるところは大きい?
「4輪だけではなく国内のレースを追い詰めて撮りたいと思っていたんですが、内定後に会社から“F1行く?”って言われて初めてF1を開催している鈴鹿に行ったんですが、“F1となるだけで、日本のサーキットってこんなに変わるんだ”と思いました。管轄が国際自動車連盟になるんで、看板から何から全部が世界と変わらない。もうパドックに行った瞬間に魅了されちゃって、そこで“撮るならF1だな”って思っちゃいました(笑)」
スポーツを撮る時って、そのスポーツを熟知していないといけない?
「知らないからこそ撮れる写真もある。分かりすぎちゃうと撮れない写真ってあるんです。スポーツを勉強して、ルールとか選手の特性も頭に入れたほうがいいって言われることが多いんですけど、僕はそこには左右されていない。僕はレースについて詳しいし、車についても詳しい。乗っているドライバーのことも詳しいから、次はどこのコーナーで入って来るか、車の特性、セッティング、タイヤのコンパウンドとかも分かっている。分かっているからこそ撮れる写真もあるんですが、それに左右されてしまったがゆえに撮れなかった写真もある。だから僕はスポーツはあまり勉強しないんです。事前に知識を入れずに、現場の感触で撮るようにしています。新しい会場とか海外に行って困るという人が多いんですが、僕は楽しくて仕方がない。新しい発見じゃないですか。スポーツとか特に日本のレースなんかは撮影制限が厳しくて撮れないと言う人は多いんですが、そこでしか撮れないほうが面白くないですか? どこでも撮れますよ、となれば意外と頭の中がぐちゃぐちゃになって、あっちも行きたいこっちも行きたいというパターンになってしまう。レースも撮影制限は厳しいんですが、あれだけ広い場所なんで、他のスポーツに比べればいっぱいある。例えばフィギュアスケートだったら朝に抽選して、今日は22番の席でしか撮れませんという形になるんですが、じゃあ今日はこの席から何が撮れるかなって座って考えて、発見する面白さというのはありますよね」
写真を撮る時は常に冷静であるべきだと思う
では写真を撮る時は冷静であったほうがいいのか高揚感があるほうがいいのか?
「冷静であるなら冷静なほうがいいと思います。一番緊張するのはレース前にピットに入って写真を撮るとき。ここは普通は入れなくて、よっぽど関係が深くないと入れてもらえない。カメラマンでよくトラブルになるのが高揚しすぎて周りが見えなくなって、カメラマン同士やスタッフともめたりすることがある。やはりそこは冷静さを持って、ちゃんと周りが見えるようにしないといけない。レースカメラマンの先輩からは周りには注意するように言われました。特にレースはどこで事故が起きるか分からないから。それは音にもです。プレスのカメラマンになると、うれしくなって“俺はプレスだから”となってお客さんの前に入っちゃってもめる人とかもいる。僕は最初はお客さんとしてサーキットに来ていたから、プレスのカメラマンが邪魔だなと思うときもあった。でもそういうときは一言挨拶するだけでも違うんです。レース場で声が聞こえない時にはアイコンタクトだけでもいい。そういうことも考えると僕は常に冷静であるべきだと思う。オリンピックの時って日本人カメラマンが多いんですが、日本人が金メダルを取ると、パーテーションを壊してまで入ってはいけないところまで行ってしまうカメラマンが多いらしいんです。それで後から青木が謝りに行くということがロンドンでもあったらしい。だから青木は僕らにも、“そういうことは気をつけなさい”と言いますので、そこらへんはよく教え込まれていると思います。それに今っていろいろなものが修正できる。ペットボトルだって消せちゃう。でも冷静であると、“この背景は邪魔だな”とか気がつくじゃないですか。それだけで撮れるものが変わってくる。だから僕は常に冷静であれということを意識しています」
現在ではモータースポーツはもちろん他のスポーツも撮るようになった。今後はどんな写真を撮っていきたい?
「2016年のリオデジャネイロ五輪は当初は行く予定がなかったんですが、みんなが出発する1週間くらい前にIOCから日本人向けに1枚パスが出て、それがうちに回ってきた。それで棚からぼた餅みたいな感じでオリンピックを経験できた。夏のオリンピックは一度経験できればいいかなと思っていたんですが、今はやはり2020年の東京オリンピックは撮りたいと思っています」
(TOKYO HEADLINE・本吉英人)

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