画像: 小山薫堂「“湯道”を通して日本文化の価値を見直したい」【BEYOND 2020 NEXT FORUM】

小山薫堂「“湯道”を通して日本文化の価値を見直したい」【BEYOND 2020 NEXT FORUM】

今、考えるべき「2020年の、その先」
「2020年以降の日本の活性化」をテーマに、世代や業界を越えて有識者らが集う『Beyond 2020 NEXT Forum−日本を元気に! JAPAN MOVE UP!−』キックオフイベントが2月26日に開催。そのトークセッションにも登壇した小山薫堂が提唱する「湯道」に秘められた、日本再発見、そして活性化のヒントとは。東京ヘッドライン代表取締役社長・一木広治氏が話を聞いた。
一木:2020年以降の日本の活性化について小山さんは何がポイントになると考えていますか?
小山薫堂(以下:小山):若い人たちが活発に、どんどん新しいことに挑戦するということももちろん大切だと思いますが、少子高齢化という現状を考えれば、僕は高齢の人たちがどれだけ輝けるかということも大事だと思っています。
一木:確かに高齢者人口が多くを占める以上、その層が生み出す力も必要ですね。そのためのプロジェクトなども手掛けておられるのでしょうか?
小山:とくに高齢の世代に向けてというわけではないのですが、以前から“湯道”と称して、日本の“風呂文化”をもう一度見直してみようというプロジェクトを続けています。日本には至る所に銭湯や温泉があり、昔から、湯に人が集う文化が根付いています。若者の少ない地方であれ、高齢者が多い地域であれ、そこに湯があれば、人がやってくる。湯は人を集めるマグネットになるんです。湯に集まってきた人々がつながれば、1つのコミュニティーが生まれます。そういった、つながりや出会いを得られる場は高齢の人たちにとっても有意義なものだと思います。
一木:当たり前だと思っていたことを見直してみると新たな価値が見えてきますね。
小山:日本人にとって入浴は生活の一部で、ごく当たり前のことですからね。でも海外から見れば、日本の一つの文化として受け止められているんです。実は僕は、新国立競技場の中に“国立銭湯”を作って、試合を終えたオリンピック、パラリンピックのライバル選手同士が一緒に汗を流すということができればいいなと思い、いろいろな方々にかけあっていたんですよ。さまざまな国の選手が日本に来て、日本の風呂文化を通して親睦を深めたり、お互いを認め合う場になれば、それは日本ならではのレガシーにもなると思ったんです。まあ残念ながら実現できませんでしたけど(笑)。実際に前の競技場にはお風呂があって、ラグビーの選手たちは試合後に一緒に汗を流したりということをしていたようなので、それを東京2020でもできれば、と思ったんですが。そんなことをずっと言っていたら、こんな出会いもありました。京都の九条山にフランス政府のアーティスト・イン・レジデンスがあって、そこにはフランスの優秀な芸術家たちが半年から1年ほど家族とともに滞在して日本の文化を学んでいるのですが、そのなかに日本に銭湯の勉強をしているヨハンさんという方がいて、僕のところに話を聞きにいらっしゃったことをきっかけに親しくなりまして。一緒にいろいろな銭湯を回ったりもしました。彼が、必ずパリに銭湯を作ると言うので、実は東京2020で、こういう銭湯を作りたかったと話したところ、東京の次はパリで開催されるから、パリにそのアイデアをもらっていいか、と。いま彼は、パリ大会で実現させる、と頑張っています。1900年代初めにカフェ文化がパリで花開きましたけど、それに近いものが銭湯にはあると思うんです。ヨハンさんも、人が集まり裸になって身分も関係なく汗を流すという姿に魅了されると言っていました。
一木:2020年の後にも大阪万博もありますし、どこかの機会で作ってもいいですよね。海外の人の視点を通して、改めて風呂文化を見つめなおすといろいろなことが見えてきそうです。
小山:僕が湯道を通して伝えたい一番のことというのが“待つ”ということの大切さなんです。今は待たないことが、価値があるとされる時代。なんでも便利になって、どれだけ時間を短縮できるかというところ、いかに人を待たせないかというところにサービスやモノづくりの軸が置かれている。でも昔は、待つ間に相手のことを考えたり、その先のことを考えたりしていた。お湯が沸くまで待つ、その時間はとても大切な時間なんだというメッセージを伝えたい。湯道では、薪を割って水を運んで、薪で火を焚いてお湯を沸かし、その間に話しをしながら待つ、ということを正式な作法としています。現代では価値のある体験ではないでしょうか。
一木:当たり前と思っていた日本の文化から新たな価値を見いだすことは、まさに日本の活性化につながることになりそうです。
小山薫堂(こやま くんどう)
熊本県出身。放送作家、脚本家。株式会社オレンジ・アンド・パートナーズ代表取締役社長 兼 N35 inc代表。テレビ番組「カノッサの屈辱」「料理の鉄人」などを手掛け、映画脚本を手掛けた「おくりびと」は、第81回アカデミー賞外国語映画賞、第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞。
「BEYOND 2020 NEXT FORUM」第1回イベント開催
これからの日本に必要な新しいモノやコトを創り出す場を提供する本フォーラムの第1回イベントを4月12日(金)18時15分より行います。タイトルは、「2020年以降に向けた次世代エコノミー(経済)の開拓戦略」です。
詳細・参加登録はこちら: https://id.sankei.jp/e/625
「BEYOND 2020 NEXT FORUM」は、「2020年東京オリンピック・パラリンピック」のレガシーを活かし、2020年以降の日本を元気にしていくためには、何が必要なのかを考えて行く場です。ダイバーシティ、イノベーション、スタートアップ、エンターテインメントなどのテーマのもとに、各界で活躍中の有識者によって構成されたメンバーを中心に新たな“モノ”、“コト”を創り出すべく活動をしていきます。
2020年以降の日本の活性化に向けて「BEYOND 2020 NEXT FORUM」... http://www.tokyoheadline.com/436908/

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