画像: 久しぶりに“映画”を観た!傑作「岬の兄妹」に見る“映画の定義”【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

久しぶりに“映画”を観た!傑作「岬の兄妹」に見る“映画の定義”【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

こんにちは、黒田勇樹です。
皆さんは10連休はどうお過ごしでしたか?
僕はプロットを練ったり脚本を書いたりという生活で、あっという間に10日間が過ぎてしまいました。
いや、別に連休は関係ないんですけどね。
芸事やってる人はみんなそうですよね? 僕だけじゃないですよね? となんとなくつぶやいてみます。
今週は鑑賞記です。相談も引き続き募集中です。では始めましょう。
あまりにも大勢の知人に勧められるので、ロングラン上映中の話題作「岬の兄妹」を、いよいよ観に行ってきました。
もうね...とにかく面白かった! 後述しますがかなりアングラと言いますかエログロ多少ありのR15、世の、人の、暗い部分を描いた作品でもあるので、大人から子供まで楽しめるエンタメ大作だったカメ止めの様に派手にはいかず、人に勧める時に声を潜める方も多いのかもしれませんが、それでも着実にジワジワと地を這うようにクチコミが広がっているのがよくわかります。
かく言う僕も、さっそくゾンビ捕りがゾンビになる早さで、知人に勧めまくっています。
さて、この「岬の兄妹」という映画、簡単にあらすじを説明すると、港町に足の悪い兄と、障がいを抱えた妹が2人きりで暮らしているんですが、仕事をクビになった兄が生活に困窮し、妹の売春斡旋を始めるっつー話なんですが、見事に救いようがない!
中盤で兄の親友役が「お前は足が悪いんじゃない! 頭が悪いんだ!」と語る様に、まさに、彼らを取り巻く不幸が、貧困でも障がいでもなく「愚かさ」から来ることが描かれています。
妹の障がいについて、公式では「自閉症」と書かれています。
僕もアカデミー賞を頂いた学校3で同じ病名の少年の役をやらせて頂いたので多少勉強していて、会話や意思の疎通が多少できているところを見ると知的障害に近いのかもとおもいつつ、「自閉症」という言葉も、時代や派閥によりかなり解釈が変わり、なんなら「引きこもり」を「自閉症」と平気で言う学者さんなんかもいるので、今回は病気の解釈や裏付けは置いておいて作中でも名言されていないので、その人々の「愚かさ」を描くときに「いるよね、こういう個性の人」という「ファンタジー的な病い」で、全く構いません。
妹のラブシーンというかベッドシーンが何度も出てくるんですが、それよりも前に入浴シーンであられもなく胸をさらけ出された時に「どう? 障がい者のおっぱいで興奮できる?」と問いかけられ観客のほとんど(少なくとも僕は)「いや、無理っしょ...」となるここが本質。
何度も言いますがこの映画が描いてるのは「障がいは大変」とかそういうことじゃないんです!
さて、ここで問題です。映画って、何をもってして映画だと思いますか?
僕が重要だと思うのはこの3つ。
「人間」の「愚かさ」が「映像」で描かれているということ。
「映像」の部分が「台詞」や「音楽」メインの表現になってもダメだし、「愚かさ」が「弱さ」や「儚さ」に変わっても違うのです。
「動物」や「大自然」のドキュメンタリー映画ですら、人は動物の生活や自然の驚異ごしに「人間」を見ていると思いませんか!?
岬の兄妹には、この映画3拍子が完璧に揃っていました。
あとは...観て!!
俺は声を大にして、この映画を「映画のお手本」として広く人に勧めていきます!
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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。
公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23
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