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【徳井健太の菩薩目線】第25回 一流のプロフェッショナルのオススメは、踏み絵なんだ

“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第25回目は、プロの判断に身を委ねることのメリットについて、独自の梵鐘を鳴らす――。
アマチュアが出しゃばるべきじゃない
一流のプロフェッショナルのオススメは、踏み絵なんだ
一流のオススメは、本物のオススメだ。昨今、それを痛感する。
きっかけは、小籔(千豊)さんに連れていってもらった西麻布の某高級すし店だった。そもそも超高級料理店は、俺のような裕福ではない人間が行く場所じゃないと思っていた。セレブが楽しむような場所なんだろうって固定概念があったんだよね。
小籔さんは、目からウロコの持論を数多く持っている人だけど、その鋭い視点は、母親の影響が関係しているそうだ。なんでもお母さんは、あえてすし店をはじめとした高級店に、幼少期、多感な時期の小籔さんを連れていくことで、「誰が持っていてもお金は同じ。変な気負いを持たないように」といったことなどを伝えていったというんだ。さらに、いざそういう場所に行くとなったときに、「勝手が分からずあたふたしている男ほど情けないものはない」という話もしてくれた。
固定概念を抱くことは、必要のない劣等感や尻込み、いざというときにスマートに行動にできないといったデメリットしか生まない――。俺は、膝を打った。本物の立ち居振る舞いというのは、やはりそれ相当の場所に行くしかない。そのためにも、俺が抱いていたような固定観念は、見えない足かせとなって、選択肢の数を勝手に狭めてしまうだけなんだよね。
俺は、かつて飲食店のキッチンでアルバイトをしていた。そのとき、オススメと掲げていたものは、在庫処分をしたい食材を“今日の目玉”と掲げることで、効率よく消化していく店側の勝手な思惑ありきだった。以来、お店のオススメというものを、あまり信用していなかった。
ところが、西麻布のすし屋は違った。俺がイクラを頼むと、「今日はあまりオススメできませんよ」と返ってきた。続けて、「ブリはお好きですか? 少し壊せば美味しくなりますよ」と投げかけてきた。こういった変幻自在の応用力こそがプロなんだと、感心してしまった。
本来であれば、俺たちもテレビ局から、「〇〇のネタをお願いします」と打診された場合、このすし屋のように対応することがプロなんだと思う。「あのネタですか? 最近はあまりウケが良くないので違うネタの方が良いと思います」、「あのネタですか? 最近はあまりやっていないので、ちょっと壊していいですか?」という具合に。
まぁ、俺たちはそんなことを言えるほどネタの数がないけども。俺たちは、かれこれ10年くらい新ネタを作っていないけども。
プロか否かの判断基準は“金の臭い”がするか、しないか
だとしても、回転ずしであったとしても、その立場なりのプロの姿はある。どんな分野、立場にもプロフェッショナルはいるわけで、その人たちがオススメする技術や意見は、一定の信頼が置けるものに違いない。その凄みを手っ取り早く享受できる場所が、それ相当の場所。当然、お金もかかる。けども、そこに変な固定観念は必要ない。あると、足が重くなり、得るはずだった知見を得られずに終わってしまうから。
ニーズと向き合うことは、すごく重要なことだよね。その一方で、なんでもかんでも聞いてしまうと、磨くべき自分の腕が鈍るだけのように思う。多機能になったとして、それが高評価を受けるかどうかは別問題だ。
考えても見てほしい。美味いすし屋は、365日、すしを握っている。美味いラーメン屋は、365日、ずっとスープを混ぜている。対して、俺たち顧客のほとんどは食べるときに、一案する程度。プロであり尊敬できる人に対しては、その人の判断に任せた方がいいに決まっているんだ。素人が出しゃばるべきじゃない。これは仕事も同じだよ。アマである自分の意味不明な自我を、プロに向かって唱えるだけ、死へのカウントダウンは加速する。
となると、プロか否かの判断が大事だ。俺は、見極める一つのポイントとして、その人から“金の臭い”しかしなかったら委ねる必要はないと思っている。例えば、家電量販店でオススメの家電を猛プッシュされても、そこに金の臭いしかしないのであれば買わない。商魂が、あまりにも金と表裏一体になっているようなケースは、そもそも買う気も失せてしまうからね。
勝手を知らないんだったらプロの言葉に耳を傾けた方がいい。俺は、初めて訪れる高評価の店にコースがある場合、決まってコースメニューを注文する。オススメだろうコースが不味ければ、そのお店はその程度だと理解できるし、「美味い」と感じれば、こだわりを持っていることが分かる。オススメを提供するってのは、双方にとって踏み絵なんだよね。オススメってのは、覚悟が必要なんだ。
※徳井健太の菩薩目線】は、毎月10日、20日、30日更新です
【プロフィル】とくい・けんた 1980年北海道生まれ。2000年、東京NSC5期生同期・吉村崇と平成ノブシコブシを結成。感情の起伏が少なく、理解不能な言動が多いことから“サイコ”の異名を持つが、既婚者で2児の父でもある。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。

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