アダルトビデオ販売会社「ソフト・オン・デマンド(以下SOD)」で働いて13年目。SODで働いていることを友人や初めて会った人に伝えたときの反応にもいろいろあります。(「なんで早稲田大学を出てSODに?」という質問に対しての答えは、第3回の記事で書いたので、ぜひそちらを読んでみてください。)男性からよく言われるのは「お世話になってます!」という言葉。AVが好きでSODのことも知ってくださっていて、好きな女優さんや好きなシリーズの話などを聞かせていただけるのはとても嬉しいです。一方女性はSODという会社を知らない人が多く、「なんの会社?」というところから、どういうものを扱っていて、自分はそこでそんな職種で働いていて...というのを説明します。「面白そう」と言ってくれる人もいれば、まったくピンとこないという表情の人もいて、女性にとってAVはまだそれほど日常的なものではないのだなと改めて感じることも。さて以前は、私がSODで働いているということを知っている男性から、しばしば「飲み会に来て」という誘いを受けることがありました。お酒を飲むのは好きなので、最初は何も考えずに参加していたのですが、次第に気づいてしまいました。彼らが求めているのは、「私」ではなく「SOD女子社員」であるということを。AV業界のことを面白可笑しく語ること、セクハラをされること、そしてそのセクハラを笑って受け流すこと。私に求められていたのはそれだけでした。こんなこともありました。初めて会う人なのに、私の名前をインターネットで検索し、プロフィールを覚え、取材記事や連載記事も見てきた上で、会社やアダルト業界の話を根掘り葉掘り聞かれ、最後には「この記事もどうせ自分で書いてないんでしょ?」と言われるという。全部自分で書いてるんですけどね。彼らはもしかしたら、アダルトビデオ会社で働く女性は全員女優で、出演以外の仕事がないと誤解しているのかもしれませんね。(そもそも女優さんもAV出演以外にも、文章を書かれたり、歌や踊りをやられたり、作品の販売促進のために我々が依頼した作業をしたり、ほかにも様々なお仕事があります。)これって結構失礼な話だと思うんですが、どうでしょう。「アダルトビデオを販売している会社に勤めている女性がまともな仕事をしているわけがない」「アダルト業界の女性は、男性の飲み会では都合よくエロい話ができるホステスであれば良い」そういう価値観で扱われているのだなと感じて、私はすごく腹が立ちました。おそらく、ほとんどの皆さんは、性の話を真面目にする機会が多くはないのではないでしょうか。特殊な題材だから、性に関する話題になると、急に人との距離感がわからなくなる。他の題材で話しているときは、「これを言ったら相手がどう感じるか」「こういう伝え方をしてもいいかどうか」ということを考えられるのに、性の話をする機会が少ないから、その加減がわからない。それで、飲み会の席などで急に、「ハメを外す」ということが起こってしまうのではないかと思います。つまりは、普段からもっと性の話をして、力加減を知っていくことが必要なのでは。だからこそ、実は下ネタって、もっと話したほうがいいのではないでしょうか。セクハラをするためではありません。どうすれば他人を傷つけないで性の話ができるかを、もっと練習していくために。と言っても、最近は前述したような失礼な誘いも減ってきました。13年もSODで働いていると、さすがにちゃんと仕事をしてるんだなとわかってくれているのかもしれません。ただ単にまわりの友人たちが結婚・出産したりして、飲み会の開催数自体が減っているのかもしれませんが...。田口桃子(たぐち・ももこ)GIRL'S CHプロデューサー。2007年、新卒でソフト・オン・デマンド(株)に入社。営業、マーケティング等の部署を経て、2012年よりGIRL'S CHの立ち上げに携わる。以来現在まで、GIRL'S CHの現場リーダーとしてサイト運営をしつつ、オリジナル動画ではレポーター出演等をすることも。
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