画像: 松尾スズキが芸術監督に就任。「シアターコクーンを不真面目な色気のある劇場にしたい」

松尾スズキが芸術監督に就任。「シアターコクーンを不真面目な色気のある劇場にしたい」

串田和美、蜷川幸雄に続く3代目
東急文化村が9月9日、Bunkamura オーチャードホールで会見を開き、Bunkamura シアターコクーンの芸術監督に演出家・劇作家、そして俳優としても活躍する松尾スズキが就任することを発表した。
これまで串田和美、蜷川幸雄が務めてきたが、2016年に蜷川が亡くなってからは約3年間不在という状況だった。
松尾は「大人計画」の主宰を務めるかたわら、さまざまなプロデュース公演にも参加。シアターコクーンでは2000年に『キレイ-神様と待ち合わせした女-』の作・演出で初登場。その後も『ニンゲン御破算』『女教師は二度抱かれた』『ふくすけ』『ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン』といった多くの話題作を発表してきた。
東急文化村の中野哲夫代表取締役社長は会見で「渋谷に文化村が開村して30年を迎えた。この30年という節目に新しい芸術監督として松尾さんを迎えることとなった。文化村は“少しでも多くの方たちに芸術を”“半歩先の芸術”をテーマに30年間やってきた。これはシアターコクーンも同様。今まで芸術監督を努めていただいた串田さんも蜷川さんも同じようにお客さんを集め、ちょっと先の演劇をやっていただけたと思っている。松尾さんも多くのお客さんを集め、ちょっと先の演劇をやってくださっている。多くのお客さんが熱狂し、空から演劇の神様が降りてきて、舞台の上の役者さんのエネルギーと相まって素晴らしい興奮と感動を呼んでくれる。こういう化学反応を起こしてくれる人という意味では当代一の腕を持った人」などと松尾への期待を述べた。
「劇場くらい倫理とか道徳とかから解放された空間があってもいいんじゃないか」
しかしこの日の会見は大人計画の皆川猿時が司会を務め、いきなり「本日は松尾スズキ、シアターコクーン芸術監督就任謝罪会見にお集まりいただき誠にありがとうございます」と始めるといった破天荒なもので「今までシアターコクーンを支えてくれた南平台や松濤、代々木上原のマダムたちがどう思うか。なによりも硬い親会社になんと言われるかドキドキしている」と本音ともジョークともとれる発言もポロリ。
続いて松尾がバンドの生演奏とコーラス隊の歌に乗って会場に登場。こちらも皆川の司会っぷりが予想を越えていたのか「本日は台風で首都圏が混乱する中、こんな混乱した就任式を始めてしまって誠に申し訳ありません」と第一声。
芸術監督という仕事については「だいたいは分かっているが、あんまりよく分かっていない。公共の(劇場の)芸術監督とこういう私企業の劇場の芸術監督というのはちょっと違うよう。でも私なりに考えたのは、その劇場から演出家の色を出していくことなんじゃないかということ。蜷川さんはアングラ的な感覚を商業演劇に持ち込んだ。串田さんは音楽の面を強く打ち出した。そういうことから私の色はなにかと考えると、いい意味で“不真面目なにおいがする”ということかと思っている。演出家もやりますけど、作家もやって、映画監督もやる。節操がありません。他の演出家に比べて、真面目に(演劇を)追求しているというイメージがないかもしれないが、演劇を動かす力というのは2つあると思っていて、ひとつは芸術的なアカデミックな側面、もうひとつは人気商売・客商売という“人気が大事”という側面。今はこの両方が演劇界の中で2つに分かれて交わっていないというイメージ。そこを行き来するにはある種の不真面目さが必要なのかなという感じがして、私はシアターコクーンを“不真面目な色気のある劇場”にしていきたい」などと抱負を述べた。
この「不真面目」というのは「コンプライアンスとかいろいろな話で、どんどん世の中が窮屈になっている時代に、劇場くらい倫理とか道徳とかから解放された空間があってもいいんじゃないかな、と思っていて、そういう意味での不真面目さ」とのこと。
「人間にとって苦痛である“暇”を和らげるのは一つの文化」
また「渋谷というのは食堂街があって、ファッション街があって、映画館があってと暇をつぶすにはもってこいの街。その渋谷の奥にどんとお城のように構えて、暇をつぶす最高の劇場がある、というふうに思っている。暇をつぶすというと軽く聞こえるかもしれないが、暇というのは大したもので、禁錮刑というのは暇を与えるための罰。暇というのは罰にもなりえるくらい人間にとって苦痛なもの。それを和らげるのはひとつの文化だと思っています」などとも話した。
新監督の方向性としては国内の劇作家の新作公演を中心に、松尾の過去の作品をさまざまな演出家が手掛ける作品を上演することが多くなりそう。
具体的なラインアップとしては新芸術監督就任後の第1弾として今年12月に『キレイ-神様と待ち合わせした女-』が4回目の上演。来年は2月に鄭義信の新作、5月に松尾の旧作をノゾエ征爾が演出する作品、6月に赤堀雅秋の新作、10月に松尾の新作、12月に三浦大輔の新作が発表された。8、9月には「DISCOVER WORLD THEATREシリーズ」も開催される。
また松尾は「コクーンという遊び場を与えてもらったと思っている。そこで今までやったことのない実験ができるかなと考えている。在任中は例えばレビューショーみたいなものや今までの監督がやっていないことをやりたい」と演劇とは違う「エンターテインメントショー」的なものも計画しているよう。
「新作は僕が考えるシアターコクーンにふさわしい演劇のプロトタイプになれば」
そして来年10月の自身の新作については「キャスティングもぼちぼち始めているが、2人の女とひとりのオカマの友情の物語を音楽劇にしてやろうと思っている。それが僕が考えるシアターコクーンにふさわしい演劇のプロトタイプというかそういうものになればと考えている」などと話した。
なおこの日はゲストとして『キレイ――』の歴代ハリコナ役である阿部サダヲ、小池徹平、12月に演じる予定の神木隆之介が登場。劇中歌である『俺よりバカがいた』を披露した。
松尾の芸術監督就任をお祝いしてのゲストだったのだが、6日に第1子が生まれたばかりの小池は「自分の子供の将来への期待のほうが大きくて、松尾さんのことは全然頭に入って来ない」と笑わせた。

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