「それまで鳥取県には接点も無く行ったこともありませんでした。知っていたのは砂丘がある、ということくらいでしたね(笑)」と語るのは、鳥取県で主にドローン事業を主体とする株式会社skyer (スカイヤー)を立ち上げた宇佐美さん。地方での起業を実現させた「無いこと」の強みとは。「“鳥取県”でドローン会社を設立。地方で起業する強みを感じた」「もともと僕は子どものころからスポーツが好きで中高ではバスケ部に所属し、保健体育の教員を目指して進学したんですが、就活を意識し始めるようになって、もっと幅広く可能性を探りたいと、広告代理店やスポーツイベントを企画する会社への就職を考えたんです。ある広告代理店で内定を頂きインターンとして決められた商品の広告宣伝をするという仕事を経験したんですが、気力も体力も一番充実している若い時に自分が心からいいと思うものを伝えられないのはもったいないなと思い、大学4年の9月に起業を考え始めました」就職せずに起業という道を選び、さらに何の接点も無かったという鳥取を拠点とすることに。「起業すると決めてから事業アイデアをいろいろと考えてみたのですがどれも本腰を入れられず、改めて自分は何をしているときに心が燃え立つんだろう、と考えてみたんです。そこで大学の起業家養成プログラムに参加したときに、地方に雇用を作り出すというビジネスを意識し、それが自分のやるべきことだと感じました。社会課題の解決につながるビジネスこそ、本当に社会参画しているといえるんじゃないかと思います」地方に雇用を作り、人を呼び戻す。過疎化という社会課題と向き合うビジネスは、若者に訴えるものではなくてはならないと考えた。「かつ、若い人が使いたいツール、やりたい仕事でなくては意味がない。結局、なぜ地方が過疎化するかというと若い人がやりたい仕事がないから、ということが大きいと思います。実際、地元の人の話を聞いても、東京に出ていった若者の中には地元に戻りたいと思っている人も多い。けれど仕事がないから都会に居続けている、という話を聞きます。かつ、人手の足りない地方に新しい仕事を作るなら、最先端のテクノロジーを活用する必要があると思っていました。テクノロジーとインターネットという要素を含めたツールを探していた時にドローンが目に入り、地方とドローンの可能性を探ってみるとビジネスチャンスがけっこうあるな、と。ドローンを飛ばすには広い土地が必要ですしね(笑)。今や、3Kと言われた建設や農業の現場でもドローンが当たり前になってきています」かくして2016年にドローン事業をメインとした会社を鳥取に設立。起業のために乗り込んだ鳥取は...。「人口最少県というのは本当だなと、あらためて驚きましたね。僕が行ってからも人口減で学級閉鎖した学校がいくつもありましたし。若者がどんどん都会へ出ていき、高齢者が残ってしまうリアルを実感しました。また、人が少ないうえに情報が口コミによるところが大きく、何かをアピールしても東京のようにすぐに大きな反応が返ってこない。でも逆に、人と人とのつながりが生まれると、人を介して仕事や人が集まってくるんです。ドローンパイロットの養成に加え、今後は太陽光パネルの点検などドローンを使ったビジネスの創出も注力していきます」今では鳥取県でもいち早く登場したドローン会社として存在感を発揮。「地方課題解決に役立つ事業ということで、補助金が認められる場合があります。地方で勢力をつくることができればそれ以降の展開につなげることができるんだと手ごたえを感じました」地方と親和性の高いものや場所を問わないビジネスなら地方拠点も検討の価値あり。「地方で立ち上げたほうがプレイヤーの多い都会よりも目立ちますし、そこで実績を作れれば次の展開にもつながっていく。確かに情報を収集したり人と会うために東京に出てくる必要はありますけど、地方創生という観点からも、補助金や銀行の融資を受けやすい場合もあります。土地代や物価も安いですし、僕もスタートするのにそこまで多額な資金は必要ありませんでした。資金や経験、人脈とないものばかりでしたけど、それが逆に強みだったというか。地方で小さな仕事からコツコツ積み上げ、大きな仕事へと結び付けていくことができた。何も失うものが無かったので、がむしゃらに取り組めました。今僕は鳥取をスポーツで盛り上げようとスポーツ事業を立ち上げました。3人制のプロバスケチームのオーナーとして、スポーツを通して鳥取地域に新しい雇用を創出していきます」起業家データ【起業時の年齢】24歳【起業時の資本金】20万円【起業後の収入】大学卒業後の起業のため変動なし。初年度は役員報酬ゼロ。2社目を設立し徐々に発生【座右の銘】Think global Act local平均的な1日のスケジュール06時 起床06時 読書、YouTube視聴、入浴08時30分 出社10時 営業や社内打ち合わせ12時 メールチェック、昼寝、昼食13時 現場業務(撮影や点検)18時 次の現場へ移動(移動がない時は会食)21時 作業00時 読書、YouTube視聴、入浴01時 就寝Company Profile株式会社skyer(スカイヤー)【設立】2016年8月12日【代表】代表取締役 宇佐美 孝太【本社】〒689-3214 鳥取県西伯郡大山町加茂3219-11【事業内容】・ドローンパイロット育成スクール「ドローンの学校」の運営・ドローン関連イベントの企画運営・映像制作・導入コンサルティング・プロバスケットボールチームの運営鳥取県との「災害時等における無人航空機による協力に関する協定」締結起業をする人・考える人への応援メッセージ世の中は課題に溢れている。課題の数だけ、解決策があり、課題が解決される、その社会をイメージし続けることができれば、必然と行動に繋がります。
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