画像: 【徳井健太の菩薩目線】第44回 40歳になったら年上の言うことよりも、年下の言うことを聞いたほうがいい

【徳井健太の菩薩目線】第44回 40歳になったら年上の言うことよりも、年下の言うことを聞いたほうがいい

“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第44回目は、年下から言われたある指摘について独自の梵鐘を鳴らす――。
『SKE48 ゼブラエンジェルのガチばん!!』(YouTube KYORAKU ch にて配信中)、『徳井健太のアイドル理論』(Kawaiian for ひかりTVにて配信中)など、地上波ではないにしろどういうわけかMCを担当する機会が増えている。なぜ、自分がMCを任されているのかよく分からないにせよ、結果的に「MCとは何ぞや?」といったことを考える機会も増えている。
今年のMリーグ(プロ麻雀リーグ)の開幕戦。俺は、パブリックビューイングイベントのMCを務めさせてもらった。そして、反省した。麻雀は得意ジャンルでもあるから、自分の求められているキャラクターを貫き通しさえすれば、MCとして問題ないだろうと思っていたんだ。
ところが、同じく進行をともにした麻雀好きで、“今、一番脱げるシンガーソングライター”というキャッチコピーを持っている藤田恵名から、グサッと一刺しされてしまった。
「お客さんと温度を合わせた方がいいんじゃないですか。徳井さんが面白いのは分かるけど、周りの温度とあまりにも違うと浮いてしまいますよ。それってMCの仕事とは言えないんじゃないですか」
10歳も年下の彼女からの一言は、まもなく40歳を迎えるおじさんの俺にとってヒリヒリとした痛みを伴うものだった。染みる。と思うと同時に、言われてみればその通りだって感心してしまった。
これまでアイドルの話を聞くとき、俺はその子から話を聞き出そうと、自分のキャラクターを第一に、結構なテンションで聞いていたんだ。でも、それぞれに温度があって、30°Cの子もいれば、50°Cの子もいる。対して俺は、MCのような自分が回す立ち位置にいるときは、100°Cの姿勢――自分が全力でリードすれば何とかなるだろうって考えていた。
ものすごくブリブリのアイドルなんかは、当たり前のことしか話さない。無理にこちらに合わせるようなことはしない。言うなれば30°Cくらいの温度で完走しようとするタイプも少なくない。そんな子に、「何かあるでしょ!?」という具合に、100°Cの感覚で食い下がっても、やっぱり何も出てこなかったんだよね。
レベルを下げるのではなく、温度を下げてみる
30°Cの子であれば35°C~40°Cに、50°Cの子であれば55°C~60°Cに合わせるように、対象者よりも5°C~10°Cほど高いくらいがちょうどいい。徐々に温度を上げていけば、その子も段々と釣られるように、いろいろな引き出しを開けたかもしれない。「平成ノブシコブシの徳井だったら、それなりに話をしてくれるだろう、それなりにやってもいいんだろう」って、俺自身に甘えがあったんだと思う。沸点が100°Cとは限らないよね。
自分が、そこそこ中心となって何かを動かさないといけないときって、当然好き勝手できない。そして、いつものキャラでやり抜くことも難しい。ペースメーカーのように、周りの温度を考えながら、少し高い温度に設定するくらいの身の振り方が、いい湯加減。それによって個性が消えてしまうこともあるのかもしれないけど、その程度で消える個性なら、それはまだ個性と呼べるものじゃないのかもしれないね。
彼女から刺されたとき、ミュージシャンと芸人の違いを感じたんだ。芸人は、笑わしてナンボみたいなところがある。飯を出して「さぁ食え」と言い放って、不味かったら残せ、美味かったら食えみたいな状況が当たり前。一方、ミュージシャンは、ライブに代表されるように一体感や調和を重視する。来てくれたお客さんを楽しませようと、いろいろと考える。往年の名曲をそれなりに混ぜたり、演出面に創意工夫を凝らしたり、飽きさせないようにあれこれ考える。パンクといった一部のジャンルを除いて、お客との融和を大事にするよね。
芸人は、「笑わしたら勝ち」って発想が根強いから、そこまで周りを気にしない。脱線しても、“尖り”として成立してしまうケースや、“笑いの神が降臨する”ケースもある。身勝手が許される環境が、それなりに残っている。そういう中で温度を下げてみる、というのは、個人的に面白そうだなって感じた。レベルを下げるのではなく、温度を下げてみる。これは、いろいろな立場にも応用できるんじゃないかな。
年下の女性から、ややもすれば当たり前のことを指摘されて恥ずかしかったものの、おじさんになったからこそ受け入れていかないといけないことって、たくさんある。第37回のコラムで触れた「喫茶店のマスターだと思えばいいんじゃないかな」という東野さんからのアドバイスにも通ずる。この歳になって、核心を突かれる機会が少なくないのは、ポジティブなことだと思う。
「40歳になったら年上の言うことを聞かなくていい。年下の言うことを聞いたほうがいい」。そう東野さんは話していた。自分よりキャリアのある人たちの言うことは、何となく分かる。だったら、噛みついてきたり、感覚の違いがあったりする年下の言うことに耳を傾けた方が学びがある。まったくもって真理だよ。
※【徳井健太の菩薩目線】は、毎月10日、20日、30日更新です
◆プロフィル......とくい・けんた 1980年北海道生まれ。2000年、東京NSC5期生同期・吉村崇と平成ノブシコブシを結成。感情の起伏が少なく、理解不能な言動が多いことから“サイコ”の異名を持つが、既婚者で2児の父でもある。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。公式ツイッター:https://twitter.com/nagomigozen

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