画像: 常識破りのアンテナショップ「果房 メロンとロマン」 あえて“つがる市”と出さない理由とは!?

常識破りのアンテナショップ「果房 メロンとロマン」 あえて“つがる市”と出さない理由とは!?

今年7月、東京神楽坂に日本初となるメロン専門店「果房 メロンとロマン」がオープンした。『王様のブランチ』(TBS系)などにも取り上げられ、夏場は2~3時間待ちの行列が発生するなど、都内の新スポットとして大きな注目を集めている。オープンから約4カ月だった今現在も多くのお客さんが訪れ、海外メディアを含め週に1~2回は取材対応に追われているほどだ。
海外からの輸入店舗のようなフィーバーぶりだが、実はこのお店、つがる市のアンテナショップというからビックリ。ところが、外観や看板には一切、「つがる市」の文字は見当たらない。既存の枠にとらわれない常識破りのアンテナショップでもある。なぜメロンに特化したのか!? つがる市とうたわないのか!? その謎を探るべく話題の店を直撃した。
神楽坂通りから一つ脇にそれた小道に、「果房 メロンとロマン」はある。メロンをモチーフにしたキュートな外観は人目につきやすく、道行く人がスマホを取り出し、カメラで撮影している。どちらかと言えば、アンテナショップは紋切り型の地味な外観が多い。ところが、「果房 メロンとロマン」はまるで違う。これほど外観を撮影されるアンテナショップが存在しただろうか!?
店内を覗くと、テイクアウト可能な商品を求めるお客さんが列をなす。2階は喫茶スペースになっており、「専門店のメロンクリームソーダ」(680円)、「メロンジェラードフラッペ」(850円)など、「これでもか!」というくらいメロン推しの限定メニューが味わえる。見れば見るほど、アンテナショップとは思えない。なぜこのような思い切ったお店にしたのか?
「都内のいたるところに、さまざまな市町村のアンテナショップが存在しています。その中で、「つがる市のアンテナショップがオープンしました」と、後発である我々が従来の方法で宣伝しても、振り向いてもらえないだろうと考えました。また、アンテナショップを軌道に乗せるためには、1000商品ほどのラインナップが必要と言われています。つがる市にはそれほどのラインナップがないという事情もありました」
そう微苦笑するのは、青森県つがる市東京事務所・佐藤貴行さん。「果房 メロンとロマン」の構想からオープンまで見届けてきた人物だ。「違う形で注目を惹きつけなければいけない」。そこで着目したのがメロンの存在だったと振り返る。
「りんごに特化することも考えました。ですが、りんごは弘前市など近隣の市町村に競合が多すぎるため埋もれてしまいます。一方、メロンは青森県の生産量は全国5位。うち7割をつがる市が作っています。全国のトップ5に入っていて、県内の生産量を牽引するメロンであれば、つがる市の名産品として話題性をもって展開することができると考えました」(佐藤さん、以下同)
つがる市の西側に広がる屏風山砂丘地域は、水はけが良いことに加え、昼夜の温度較差が大きいためメロン栽培に最適な環境条件を有しているという。あまり知られてないが、つがる市は全国有数のメロン産地なのだ。
だとしても気になるのが、「つがる市 果房 メロンとロマン」という具合に、店名につがる市を入れることは考えなかったのか、ということ。
「仮につがる市と入れたとしても、多くの人が「どこ?」「りんごじゃないの?」と思うのではないかと。メロンの専門店をうたうなら、変な言い方かもしれないですが、戸惑わせるような情報を与えることは逆効果なのではないかと考えました。通年、メロンを食べることができ、美味しいメロン店があるという情報を際立たせるためには入れない方がいいかもしれない......協議に協議を重ね、つがる市というフレーズを出さないことに決めました」
なんという謙虚さ。たしかに、「果房 メロンとロマン」だけの方がスマートに感じる(申し訳ない!)。「このネーミングにGOサインを出した、つがる市長の英断も大きかった」と語るように、従来では考えられない決断があったからこそ、話題の店舗へと成長したことは間違いないだろう。また、神楽坂という場所にも緻密な戦略が。
「銀座や有楽町なども候補地に挙がったのですが、メロンを好むユーザー層を調べると30~40代の女性が多いことが分かりました。その上で30~40代女性が好む都内のエリアを調べると、谷根千エリアと神楽坂エリアに絞られました」
マーケティングの読みは当たり、同店には多くの女性客が訪れるように。特にお店からPRをしているわけではないにもかかわらず、「おかげさまで口コミで広まっているようです」と、人が人を呼ぶ状況を作り出しているから面白い。なんでも、入店したお客さんの多くが、「え!? こんなにかわいらしいお店なのにつがる市のアンテナショップなんですか?」と自発的につがる市に反応し、SNSなどに投稿する際は、“#つがる市”といったハッシュタグをつけているそう。「実はここってアンテナショップなんです」。そんな発信意欲が旺盛なSNSユーザーの心理をくすぐる仕掛けも注目すべき点と言える。
「プロの料理人の方にメニューの考案をお願いしています。季節で楽しめるよう、9月からは秋メニューを、12月からは冬メニューを用意する予定です」
春夏秋冬に応じて、さまざまなメロンの表情を堪能することができるのはうれしい限り。ただ、メロンの旬は夏と言われているだけに、通年でメロンの美味しさをキープすることは可能なのか?
「メロンの甘さや美味しさを一年を通して提供できるように、ジュレにするなど加工を施すことで質が落ちないように工夫しています。もちろん、つがる市のメロンだけでは実現できないところもありますから、他県産や外国産のメロンも使って、年間を通して美味しいメロンを提供するにはどうすればいいかを、日々研究しています。つがる市のアンテナショップではありますが、私たちが目指すところは、“メロンの美味しさを伝えるアンテナショップ”でもあります。茨城県や北海道など日本には青森県以外にもメロンの産地があります。ライバルではありますが、ともにメロンの美味しさを届ける仲間。青森県産以外のメロンも使用することで、質と量を確保する。メロンの美味しさを伝えることが、そのままつがる市のPRになる。そういうお店を目指していきたいですね」
本来、アンテナショップであれば、自分の町や県を全面的にアピールするもの。ところが、つがる市の「果房 メロンとロマン」は、 “メロンの美味しさを伝えるアンテナショップ――を牽引する町”という広い視点で考えている。自分さえ良ければいい、そんなステレオタイプのアンテナショップとは一線を画す。
メロンの美味しさがより浸透しているとき、おのずとつがる市の注目度も上がっているに違いない。
(取材と文・我妻弘崇)
果房 メロンとロマン
【住所】東京都新宿区神楽坂3丁目6-92
【電話】 03-6280-7020
【営業時間】 水〜日 11時30分〜17時30分
■果房 メロンとロマン:https://melon-roman.com/

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