画像: 5%還元に躍起になる“キャッシュレスセレンディピティ男”と遭遇したある女性のお話

5%還元に躍起になる“キャッシュレスセレンディピティ男”と遭遇したある女性のお話

消費増税に伴い「キャッシュレス・ポイント還元事業」がスタートした。2020年6月30日まで、中小・小規模店舗(事業者)にてキャッシュレス決済を行った際、2%または5%のポイントを還元する施策とあって、このタイミングを機にキャッシュレス決済を積極的に取り入れる人も増えている。
そんな中、本紙は「キャッシュレスに必死すぎる男に出会った」というA子さんに遭遇。「詳しく話を聞かせてくれないか?」と打診し話を伺ったところ、“デートの行動をキャッシュレスありきで決める”というキャッシュレス男のやりすぎ(!?)な実態が、彼女の口から明らかになった――。
「最初に断っておきたいのは、私自身もキャッシュレスには好意的ということ。バッグの中からお財布を取り出すのが面倒だから、suicaやスマホで決済できる方が楽。“現金の方がいい”なんて言うつもりはないですよ」
都内の病院に事務職員として勤務しているという20代後半のA子さん。続けて、「病院の会計っていまだにクレジットカードが使えないところが少なくないんです。入院費などは高額決済だから、全病院は最低限クレジットカードは使えるようにするべき! 現金を数えていると手間もかかるし、時間もかかるからクレームがくることだってある」と、しょっぱなから現金のデメリットを結構な熱量で伝えてくる。
そんなどちらかと言えばキャッシュレス派のA子さんが、「忘れられない」と口をとがらせるのが、冒頭のキャッシュレス男とのデートだという。「キャッシュレスすぎるのもどうなのかなって思いましたね。正直、引いた」。一体、何があったというのか。
「飲み会で仲良くなって、後日ご飯を食べに行くことになったんです。10月の中旬くらい、待ち合わせ場所は日比谷でした。事前に、何を食べるかみたいなことを話していなかったので、彼の中で“あたり”があると思っていました。ところが、何も決まっていなかったんですよ」
ちなみに、男性は30代半ばの会社員。見た目も悪くなく、清潔感もあるという。ある程度、大人だから街を散策しながら、一緒に良さげな雰囲気のお店を選ぼうとしたのでは? と聞くと、全力で否定する。
「全然ッ! おもむろにスマホを取り出して、“ここ良くない?”って聞いてくるんですよ。なになにって見てみたら、彼が開いていたサイトがキャッシュレスのマップ。あれを見ながら“ここ5%還元だし良くない!?”みたいな感じでノリノリで聞いてくる。アハハって誤魔化しましたけど、心の中では、“いやいや、興味ねーから”ですよ」
キャッシュレスのマップ、とは何かを説明しておこう。キャッシュレス・ポイント還元事業に伴い、どこでどんなお店が何%の還元をしていて、どのキャッシュレス決済に対応しているかといったことが、地図上で確認できるアプリがある。経済産業省が採択する、言うなれば国公式のキャッシュレスマップだったのだが、これが公開当初、“驚くほど使えない”と悪評が大爆発。巻き込まれたA子さんは、その様子を次のように振り返る。
「そもそも、“5%還元だから行ってみよう”というお店のチョイスの仕方が理解できない。“そんな選び方ある? なにこれ、私、もう脈ナシ!?”みたいな気持ちですよ。で、彼が、“面白くない? こういう機会だからこそ偶然の当たりを引くかもしれないじゃん。セレンディピティだよ!”って。単に、5%還元したいだけだろ(笑)。こんなにときめかないセレンディピティの使い方があるんだって、びっくりしました」
彼が向かった先は、マップにLINEPayが使えると表示されているレストラン。ところが――。
「入店するなり、“ここLINEPay使えます? あと...ポイント対象のお店ですよね?”と切り出して。むちゃくちゃ、恥ずかしかったです。初デートでクーポンを出す人に“え?”って思ったことはあったけど、まさか初デートでポイント還元対象かどうかを確認する人がいるとは思わなかった。“たった5%でしょ”なんて言うつもりはないけど、TPOを考えてほしい」
A子さんの悪夢は、終わらない。「うちはクレジットカードだけですけど」という店からの無慈悲なレスポンス。「えぇっ!? おかしなぁ~このマップには使えるって書いてあるんですよね」と、デリカシーゼロで店員に食い下がる男性。「地獄でした」、そうA子さんは自虐気味に声を振り絞る。
先述した「驚くほど使えない」という悪評の正体。それは、あまりにキャッシュレスマップに誤情報が多かったことだ。ユーザーインターフェースが使いづらいことに加え、その店舗で使用できないキャッシュレス決済も記載されていることが多発していたため、経産省もろともやり玉に挙げられるほど、大不評となる事態に陥ってしまったのである(※現在は改善傾向にある)。
「その後、彼は、“じゃあ、もうちょっと探してみます”ってさわやかに入店を断って、違う店を探し始めました。私も恥ずかしかったから、そのお店で食べることに躊躇していたので、ちょっと助かりましたけど...。さすがに勘弁してほしいと思ったので、“普通に探しません?”って伝えたら、“セレンディピティ! セレンディピティ!”って笑うんです。頭がオカシイのかなって思いました(苦笑)」
怪奇、 キャッシュレスセレンディピティ男、現る――。
セレンディピティ。広辞苑には、「思わぬものを偶然に発見する能力、幸運を招き寄せる力」と書かれているが、今のところ不運しか引き寄せていない。よって、彼の行動はセレンディピティでもなんでもない――はずなのだが、なぜか彼は楽しそうにしていたという。怖い。
「多分、ゲーム感覚なんでしょうね。一人でやってくれって話ですよね。自分の知らないお店を、キャッシュレスをきっかけに知ることは良いことだと思います。でも、よりによって初めてのデートで、“それやる?”って」
結局、どんなお店を選んだのか尋ねてみると。
「歩き回るのがバカバカしかったから、その次に行ったお店にしました。普通にクレジットカードが使える創作系のオシャレな居酒屋です。食事はおいしかったですし、それなりに楽しい時間でした。会計は、彼がクレジットカードで支払い、私は2000円だけお渡しする形。さっきの行動を見ていなければ、楽しい時間だったと思うんですけど、あの一連の行動を見ていると、“5%還元できて満足だった?”としか思えない、ははは。LINEPayが使えたら、私にスマホ経由で送金させるつもりだったのかも」
A子さんは、「キャッシュレスは便利だけど人に強要するものじゃないんだなって思いました」と、この経験を踏まえて痛感したと話す。
「彼の行動って、キャッシュレスのメリットを満喫するという意味では、ある程度理解できるんですけど、“そう思わない? え? なんで!?”的な雰囲気、“キャッシュレス使いこなしている俺スゲー感”がすごいキツかったです(笑)。そもそも、マップでミスってるんだから使いこなせてねーだろ!って。行動のすべてをキャッシュレス化させるのは勝手だけど、他者に押し付けたり、無理に共有させたりしないでほしい。キャッシュレスって言っても、個人差があるんだから」
恐縮ですけど、その後、セレンディピティ男とは......。
「会うわけないじゃないですか! あっちも私のことをハズレって思っているんじゃないですか? “キャッシュレスの面白さを理解できない人とは無理”みたいに思ってそうだし。まぁ、私から言えるのは、得したいだけなのに“セレンディピティ”とか言い出したら、ホントに要注意ってことですね」

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