画像: 【徳井健太の菩薩目線】第61回 “ZOOM昼顔”“ZOOM離婚”......コロナは“精神的浮気”も拡大させる

【徳井健太の菩薩目線】第61回 “ZOOM昼顔”“ZOOM離婚”......コロナは“精神的浮気”も拡大させる

“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第61回目は、外出自粛にともなうイエナカの生活変化について、独自の梵鐘を鳴らす――。
休校になったことで、家の中で家族と過ごす時間が増えたという人も多いと思う。俺の場合、もともと多忙を極めていたわけじゃないから、子どもたちと接する時間はさほど変わらない。ただ、外に出ることを控えなければいけないため、ストレスはいつもより溜まっているかもしれない。何より、家にいても面白くはなれないから、“何かしないといけない”という強迫観念じみたものを感じる。
一概に会話と言っても、自分から積極的に語りかけていく会話もあれば、何か話題をつまみにして会話をすることもある。後者を主に会話の糸口とする俺は、 家にいればいるほど外で見聞きした話題がなくなってくるから、話すこともなくなっていく。かといって、テレビを点けると常にコロナの話題。昼に見たニュースが夕方も流れている。まるで、再放送を見てるかのような感覚に陥るよ。
となれば、各々がスマホやタブレットで、自分の好きなものを見始めるようになる。自分のパーソナルスペースで、自分の好きなように時間を使う機会が増えていくだろう。実際、俺の子どもたちは、自分の部屋でお気に入りの YouTube を見ているし、俺も気になるバラエティ番組などを見たりしている。一緒にいる時間が増えた割りには、何だか散漫としている......「実家にいるときの感覚」と伝えれば、分かりやすいかもしれない。
実家にいると、親のありがたみはなかなか分からないけど、いざ遠方で一人暮らしを始めてみると、「親は元気かな」なんてことを考え始める。ところが、久々に帰省して 3日も実家にいれば、「なんて面白味のない時間なんだ」と思ってしまう。人間って、ホント、利己的な生き物だよ。俺にとっては、苦々しい北海道の実家時代を思い出させるもんだから、この状況が後どれぐらい続くのかと思うと、幸せではない。家族がいてくれることと、この感覚は別物なんだよね。
ストレスを逃がす意味もあって、ZOOM飲みをはじめとした「オンライン飲み会」が流行っているんだろうなと思う。俺自身は、芸人仲間や仲の良い人とオンライン飲みをしようとは思わないけど。その理由を一つ挙げるとすれば、「俺―家族」「俺―芸人(仕事仲間)」という異なる関係軸を同じ空間に同居させると、双方の純度が落ちるような気がしてね。中途半端に混ぜた酒は美味くない。どころか、不味い。
出かけるってことは、いろいろな視点が生まれること
自分の部屋にこもってZOOM飲みをする。たしかに、楽しいかもしれない。一方で、精神的な浮気のハードルを下げる毒薬にもなるんじゃないかと思っている。キャバクラに遊びに行ったり、パートナーがいるにもかかわらず異性と二人きりで飲食店に出かけたりすることに、抵抗感を覚える人間は少なくない。同時に、その行為に対して「NO」を叩きつけるパートナーもいるはずだ。「精神的な浮気だ」と。
では、部屋でコソコソとパートナーが知らない異性とワンツーマンでオンライン飲みをしているとする。これは浮気的行為に当たるのか? そんな話に発展しそうだ。オンラインを介して、確実に二人の距離は縮まっているのに、「オンライン上で飲んでるだけ。何が悪い!?」なんて言われたとき、あなたはどう切り返すだろう。コロナ禍によって、精神的浮気は増えてしまうと思うな。“ZOOM昼顔”、“ZOOM離婚”――、そんな言葉が生まれてくる日も近いよ。
外に出れないという状況は、多くの人が同じものを見ている状況とも言えると思うんだよね。
例えば、同じ日、同じ時間帯に、「Aさんは山に行きました」、「 B さんは海に行きました」、「Cさんはショッピングモールに行きました」、「Dさんは映画館に行きました」......出かけるってことは、いろいろな視点が生まれることであって、とてもクリエイティブなことだと思う。でも、ABCD全員が家でテレビを見ている、動画配信サービスを見ているとしたら、なんとも味気ない。もちろん、見ているものは違うだろうけど、見ている装置は同じだからね。クリエイティビティに欠けてしまうような気がする。むしろ、この間隙を縫って、人とは異なる景色を見た人間は、収束後にクリエイティビティが爆発するんじゃないかとも思う。
同じ空間に居続けてストレスが溜まる――、その先にあるものは、物理的な行為だと思うんだ。それが暴力ではなく、運動であることを願うよ。刑務所の囚人たちが、やたらと体を鍛えるのも、なんだか納得だ。今、俺たちはまるで塀の中にいるような気分だ。
コロナ禍が過ぎ去った後、体がバキバキになっている人もいれば、ZOOM離婚に発展している人もいるだろう......俺は、クリエイティブを爆発させる道を、ひとまず模索しようと思う。
※【徳井健太の菩薩目線】は、毎月10日、20日、30日更新です
◆プロフィル......とくい・けんた 1980年北海道生まれ。2000年、東京NSC5期生同期・吉村崇と平成ノブシコブシを結成。感情の起伏が少なく、理解不能な言動が多いことから“サイコ”の異名を持つが、既婚者で2児の父でもある。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。公式ツイッター:https://twitter.com/nagomigozenz

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